この笑撃は色あせたか? 『マカロニほうれん荘』が今再び

電子版では、鴨川つばめさんが描きためた未公開カラーイラストや、雑誌掲載のみで、今までコミックスには収録されてこなかったエピソードも初収録。

» 2014年11月27日 15時00分 公開
[西尾泰三,eBook USER]
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 『マカロニほうれん荘』、というマンガ作品がある。

 1977年から1979年にかけて「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載されたこの作品が電子化され、11月28日から各電子書店に並ぶ。

 今回配信されるものは、「豪華版マカロニほうれん荘」を基に再編集したもので、全3巻。1、2巻には、鴨川つばめさんが描きためた未公開カラーイラストを多数収録。さらに3巻には、雑誌掲載のみで、今までコミックスには収録されてこなかったエピソードも初収録されている。

『マカロニほうれん荘』。記者は、大海原に浮いた小舟から別れの言葉が投げかけられるラストに、そこに至る変遷と合わせて、大きな喪失感を覚えた思い出があるのだが、すべてを含め、これは名作だと思う


 この作品は特異である。「少年チャンピオン第一次黄金期を支える作品の中でも一段と光り輝く漫画」という形容はだてではない。誌面での連載期間は2年ほどだが、鴨川つばめ、という稀有な才能が作品の至るところから噴出しているのだ。

 一言で言えばギャクマンガ、と分類されるのだろうが、ロックやミリタリー、エロス、思想的なものなど、そこに詰め込まれた要素は画集のようでもある絵と相まって、ある種の世界を教えてくれる教科書のようですらある。きんどーさん、トシちゃん、そうじたちが猛烈で強烈なユーモアとテンポで暴れ回る様に影響を受けた方も多いだろう。作品を知っている方にも、そうでない方にもお勧めしたい作品だ。

雑誌には掲載されたが、コミックスには載ることはなかったエピソードも初収録。これはうれしい

 なお、近日中に秋田書店オンラインストアで「マカロニほうれん荘」の複製原画の受注も開始予定だという。

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