思わずホロリ…感動必至の泣ける4コママンガ4選

» 2015年05月29日 12時37分 公開
[ぶくまる]
ぶくまる

 長大なストーリーマンガもいいですが、通勤時間や移動中など、ちょっとした時間にも楽しめるのが4コママンガの魅力です。「4コマ」と言うと、ギャグ・日常系・ほのぼの系など、どこかゆるーいイメージを持たれている方が多いかもしれませんが、実は笑えるだけではなく、じわりと涙腺を刺激してくる4コママンガもあるのです。

 今回は、ある意味“閲覧注意”な、思わずホロリと泣ける4作品をご紹介します。

「日本一泣ける4コマ」と謳われた『自虐の詩』

自虐の詩 上

自虐の詩』 業田良家/竹書房

 気に食わないことがあると、すぐにちゃぶ台をひっくり返すイサオと、そんなイサオに泣かされながらも、献身的に寄り添う幸江。2人はいわゆる内縁関係ですが、イサオがろくに働きもせずにパチンコやマージャンに明け暮れる一方で、幸江は生活費を稼ぐために、中華料理屋で忙しく働く日々を送っています。

 そんな幸江が作った料理を「まずい!」とひっくり返したり、稼いだ給料を盗んだり。正直、幸江がどうして惚れているのか分からなくなるくらい、イサオの仕打ちは眉をしかめたくなることばかり。しかし、寝込んだ幸江を夜通し看病したり、幸江をオバサン呼ばわりした中華料理屋の客に怒ったりと、乱暴ながらも、イサオが幸江を大事にしていることが、うっすらとではありますが伝わってきます。読者をジーンとさせた次のページで、またまたちゃぶ台をひっくり返すのはご愛敬。不器用で小さな愛情の積み重ねが、この2人の歴史を紡いでいきます。

 2007年に阿部寛・中谷美紀で実写映画化もされた本作。原作は上下2巻という構成です。後半からは、幸江の幼少時代の過酷な家庭環境と、イサオと幸江のなれそめが明らかに。その過去があって今の2人があるのだと分かった時に、大きな感動が押し寄せます。

 イサオのダメっぷりと、たまに見せる優しさ。いつもニコニコして健気な幸江と、その壮絶な過去。絵柄も話もギャグっぽいのに、泣けてしまう。あらゆる「ギャップ」に、ノックアウトされてしまう作品です。

『自虐の詩』を立ち読みする

非日常な世界がシュールで切ない『オンノジ』

オンノジ

オンノジ』 施川ユウキ/秋田書店

 いつもと変わりなく見える街並みなのに、誰もいない世界。主人公の少女・ミヤコはただ1人、理由も何も分からないまま、夜通し走ってみたり、線路に寝そべってみたりと、好き勝手に暮らしながらも、人に会いたくてしょうがない日々を過ごしていました。

 そんなある日、元・人間の少年だったというフラミンゴに遭遇します。誰もいない世界でようやく出会えた、自分以外の「他人」。最初は戸惑いつつも、ミヤコは人の言葉を話す彼を「オンノジ」と呼び、誰もいない世界を2人で生きていきます。

 遊園地へ行ったり、温泉旅館へ行ったりと、楽しそうに遊びまわる2人の掛け合いはコントのようで、悲壮感や絶望感はあまり感じられず、むしろ絶妙な言葉遊びやボケツッコミに、ついつい笑ってしまいます。けれど夜になり眠るオンノジの隣で、この世界のことやオンノジのことを考えるミヤコを見ると、昼間の明るく元気な姿との落差に、胸がギュッと締めつけられてしまうのです

 いつしかミヤコは、オンノジと暮らす今の世界が大好きだと気づきます。それはオンノジも同じ気持ち。

「だから もし このまま世界が終わってしまったとしても ハッピーエンドだ」

 なんて、フラミンゴなのに、うっかり惚れてしまいそうなイケメンフレーズです。

 小さな小さな2人と、一緒に笑ったり、ちょっぴり寂しくなったりしながら、ぜひ彼らの世界の結末を見届けてください。

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血ではなく、愛で繋がる2人『義母と娘のブルース』

義母と娘のブルース

義母と娘のブルース』 桜沢鈴/ぶんか社

 早くに病気で母親を亡くした、小学生の女の子・みゆき。再婚相手として父親の良一が連れてきた女性・亜希子は、仕事一筋に生きてきたバリバリのキャリアウーマンでした。ともすると重くなりがちな「義母と娘」という複雑な関係を、笑いあり・涙ありで描いた4コママンガ。

 常に営業成績トップの亜希子も、「母親」は初めての役職であり、子どもの扱いには戸惑うばかり。子ども相手に名刺を差し出したり、履歴書を渡したりと、斜め上なアプローチを連発します。一方、みゆきは実母の死から立ち直れず、亜希子の気持ちを知りながらも、つい意地を張ってしまいます。お互い「仲良くなりたい」という気持ちはあるのに、空回りばかり……。

 しかし、夫であり父でもある良一までもが病に倒れ、家族の形が崩れかけると、亜希子は今までの関係が「家族ごっこ」でしかなかったことに気づきます。血が繋がっていなくとも、本当の親子のように愛しあうことはできる。真の意味で「母親になる」と誓った亜希子と、気持ちを整理して素直になったみゆきの姿は感動必至です。

 全2巻という短い作品ですが、小学生だったみゆきが高校生になり、そして結婚し……と、2人が絆を深めていく過程とその人生が描かれていて、さながら一家族のホームビデオを観ているかのよう。キャリアウーマンのクセがいつまでも抜けず、家でもパートでも斜め上に一生懸命な亜希子の行動に笑いつつ、全編を通して伝わる家族愛に、最後は涙腺がじんわりと緩みます。

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丹精込めて育てた“エサ”は、最愛の息子!?『擬似親子四コマ』

擬似親子四コマ

擬似親子四コマ』 東屋めめ/竹書房

 主人公のオオカミは、拾った仔ウサギを丸々太らせてから食べるため、「食料」として育てています。実は、母ウサギはオオカミが食べてしまったのですが、それを知らない仔ウサギは、オオカミを本当の「お父さん」だと思い、慕っています。オオカミも、仔ウサギを料理する鍋やフライパンを揃えたり、顔を舐めて味見したり、食べる気満々な態度を見せつつも、すっかり「お父さん」が板についてしまい……。『リコーダーとランドセル』の東屋めめ先生が描く、ちょっと変わった擬人化4コマです。

 オオカミを出し抜こうと、何度も仔ウサギを狙う若いキツネや、正義感からオオカミと仔ウサギをひき離そうとする警察犬の面々、さらに仔ウサギの母親を好きだった、ちょっと変態気味な白ウサギのおじさんなどなど、この不思議な親子を取り巻くキャラも、なかなか個性的です。

 周囲から真実を伝えられても、お父さんを信じて疑わない仔ウサギの健気さと可愛さには、オオカミならずともキュンとしてしまいます。ですが、そんな2匹は、やはり「捕食者と被食者」なのです。読者は、その危うい関係性の中で育まれる絆を、ハラハラしながら見守ることになります。

 果たして、オオカミは「食料」として仔ウサギを食べてしまうのか? 父性愛と獣の本能の間で板挟みになるオオカミの選択は、ご自身で確認してみてください。

『擬似親子四コマ』を立ち読みする

 以上の4作品に共通するのは、最初からお涙頂戴で描かれているわけではなく、基本には「笑い」があること。4コマならではのテンポで畳み掛けられるギャグにクスっと笑いながら、不意に胸を打たれ、最後に「そうきたか……!」と思わされるのです。

 いずれも全1〜2巻で完結している作品なので、人目を気にしないですむお家で、ぜひ一気読みしてみてくださいね。

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