秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。
一般にはあまり出会う機会のない同人誌。アニメやマンガのパロディや、コスプレの写真集などさまざまなジャンルがありますが、こちらの連載では、私設図書館「シャッツキステ」の司書メイド・ミソノが、オリジナル創作や評論ジャンルの同人誌を中心にご紹介します。作家の「好き」が形になった同人誌、その魅力を体感してください。
タイトル:『新幹線から見える城 全国編』
著者:坪内一洋
サークル名:FSIRO WEST
形態:A5 56ページ 表紙カラー・本文カラー
Webサイト:http://homepage3.nifty.com/fsirowest/
Twitter:@tabinoshi
同人誌入手先:COMIC ZIN(販売ページ)
参加予定イベント:コミックマーケット88
レールの上を揺られて進む旅の途中、ふと車窓を見ると、何となく気になる建物が。「あれ、お城なのかしら……」そんなふとした疑問が解ける時が来ました。ページをめくれば、城、城、城! 青森から鹿児島まで、著者の方が実際に新幹線に乗車し、車内から撮影した写真が次々と紹介されています。その数40点!
元々は「旅の先輩がホームページに披露(ひろう)されていた内容からアイデアを頂戴した」とのことですが、旅の最中にぱっとめくれるのは本の形ならではの良さかも。この俊敏さ、大切ですよー。全ページフルカラーで、それぞれのページにお城の写真と概略データ、車窓からの確認ポイントが掲載されています。新幹線に乗っている時、どの角度から見えるのかという地図もとっても嬉しいのですが、中には見るのにとっても難易度高そうなお城も。
例えばビルの合間に一瞬だけ見える浜松城。地面すれすれにある墨俣一夜城。地図上に示された視認可能な範囲は狭くて狭くて、とっても鋭利な一筋の光のようです……。さらに長野県の丸子城は「トンネルとトンネルの間にある橋の上から、数秒だけ見ることができる」「(城の色が)黒い色で、山の色とかぶってしまう」というシビアな条件が重なり、写真を見れば……山! お城の写真ではなく、完全に山の写真です。親切に「ココにお城がありますよ」と矢印マークで教えてくださっている先に、じーっと目を近づけてやっと発見しました。写真ですらこの状態なのに、車窓から発見できるの? ……いや、気になるお城のページをささっと開いて、本と首っ引きで車窓を眺めて、きっと発見してみせる! 眺めているだけで気持ちが高ぶります!
最後に「新幹線から見えるお城っぽいけど、お城じゃない建物」にもページを割く心憎い構成。そうそう、これを補完してくださるのはとっても嬉しいな。「天守風な理容店」や「立派すぎる民家」も見かけたらついつい気になってしまうじゃないですか……。
こちらの同人誌の発行は2012年。もしかしたら今はお城の周囲の風景も少し変わって、もっと発見の難易度が高まっているかも!? 本を携えて旅に出たくなります。
『参加予定イベント』
「同人誌即売会に参加して同人誌を販売したい! そのための場所(スペース)がほしい!」と思って申し込んでも、必ず参加できるとは限らないのです。たくさんの人が申し込む即売会は、申込者多数で抽選になることも。もうすぐ大きな即売会「コミックマーケット」におけるサークル参加希望者の当落通知発送時期で、そわそわしてらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
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