堀江貴文、うめ・小沢も運命の一冊に出会えた、マンガサロン「トリガー」がオープン

マンガコンシェルジュが一人一人に合ったお勧めのマンガを提供するマンガサロン「トリガー」が6月17日オープンした。オープンに先駆け、堀江貴文やマンガ家のうめ・小沢らを招いたトークイベントが開催された。

» 2015年06月17日 16時00分 公開
[宮澤諒eBook USER]
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木材を中心とした落ち着きのある店内。椅子の座り心地にもこだわっている 木材を中心とした落ち着きのある店内。椅子の座り心地にもこだわっている

 東京・渋谷の明治通り沿いに6月17日、マンガコンシェルジュが常駐するマンガサロン「トリガー」がオープンした。

 同店は、クラウドファンディングサイト「FAAVO」で行われたプロジェクトの成功によって誕生した。当初目標とされていた金額800万円は1カ月を待たずに集まり、急きょ1500万円までのストレッチゴールを用意、最終的に1260万円超もの支援が集まった。

 堀江貴文氏が代表を務めるレビューサイト「マンガHONZ」がプロデュースしたこの店では、マンガHONZのレビュワーが選りすぐった約4000タイトル1万2000冊ものマンガが並び、その中から客の要望(「食べ物ネタの漫画」「最近ドラマ化されたマンガ」「いま一押しのマンガ」など)に沿った作品を、常駐するマンガコンシェルジュ(永田希氏と兎来栄寿氏)が選び出し提供する。両氏はマンガHONZのレビュワーでもある。

永田希氏 永田希氏
兎来栄寿氏 兎来栄寿氏

 トリガーは知らないマンガとの出会いを提供することをコンセプトとしている。そのため、マンガ喫茶のようにタイトルごとに全巻置くことはせず、基本的に1つのタイトルにつき3巻まで提供し、気に入った作品は購入してもらう形になっている。現在のところ一部の作品に関しては、ポップに印刷されているQRコードから各作品の購入ページに誘導するなどの方法を採っている。

 運営は「サーチフィールド」代表取締役社長で、マンガHONZのレビュワーでもある小林琢磨氏が務める。eBook USERでは、過去に小林氏へのインタビューを行っており、立ち上げの経緯から、今後の理想までを伺っている。詳細はそちらの記事に譲り、こちらでは店内の様子と、6月16日に開催されたオープニングイベントをお届けする。

マンガに囲まれ、くつろげる店内

各協賛企業の棚も設置している 各協賛企業の棚も設置している
まだすべてのマンガが搬入されているわけではなく、店内の棚には多少の空白も。順次マンガで埋めていくという まだすべてのマンガが搬入されているわけではなく、店内の棚には多少の空白も。順次マンガで埋めていくという
ポップにはAmazonなどのQRコードが印刷されており、気になった作品はここから読み取ることで買うこともできる(ただし、一部の作品のみ) ポップにはAmazonなどのQRコードが印刷されており、気になった作品はここから読み取ることで買うこともできる(ただし、一部の作品のみ)
1冊10万円を超えるようなプレミアムマンガを用意。貴重なため、読みたい場合はスタッフに声を掛ける必要がある 1冊10万円を超えるようなプレミアムマンガを用意。貴重なため、読みたい場合はスタッフに声を掛ける必要がある
プレミアムマンガの一部。兎来氏がとある場所から買い集めてきたのだとか プレミアムマンガの一部。兎来氏がとある場所から買い集めてきたのだとか
マンガHONZでレビューした作品をメインに並べた店内正面の本棚 マンガHONZでレビューした作品をメインに並べた店内正面の本棚
こちらの本棚、下の部分を良く見るとレールが こちらの本棚、下の部分を良く見るとレールが
何と横にスライドする隠し部屋的な要素も。ちなみに奥は隠し部屋ではなくトイレ 何と横にスライドする隠し部屋的な要素も。ちなみに奥は隠し部屋ではなくトイレ
店内ではアルコールやドリンク、軽食も提供。「キンキンに冷えてやがるっ……!」(ビール)、「酒は苦手なんでオレンジジュース下さい」(オレンジジュース)、「仙豆」(オリーブ)など、マンガ好きがニヤリとしそうなメニューが並んでいる 店内ではアルコールやドリンク、軽食も提供。「キンキンに冷えてやがるっ……!」(ビール)、「酒は苦手なんでオレンジジュース下さい」(オレンジジュース)、「仙豆」(オリーブ)など、マンガ好きがニヤリとしそうなメニューが並んでいる

4人のマンガ好きが語る

 トークイベントには、マンガHONZ代表の堀江氏をはじめ、マンガHONZの編集長で、クリエイターのエージェント会社「コルク」代表取締役でもある佐渡島康平氏、『スティーブズ』第2巻を発売したばかりの漫画家・うめの小沢高広氏、マンガ新聞代表の角野信彦氏らが登壇した。

左から佐渡島氏、小沢氏、堀江氏、角野氏 左から佐渡島氏、小沢氏、堀江氏、角野氏

 マンガ好きで知られる堀江氏。マンガ家やマンガの出版点数が増え続ける中で、どうやったら面白い作品にスポットライトを当てられるかを模索していたという。ただレビューをするだけでなく、マンガが売れるようになるサイト。そしてマンガ家が面白いマンガを生み出し、安定して生活できるような環境を作り上げたい――そんな思いをHONZを運営する成毛眞氏に相談したところ、「HONZの軒先を貸してあげるから、そこでやりなよ」と提案されたという。「システムを1から作らなくてもよくなったので、本当にラッキーでした」(堀江氏)。

 そんな堀江氏のマンガHONZ構想に共感したのが、佐渡島氏。講談社の『モーニング』編集部で編集者として10年間務め、『ドラゴン桜』や『宇宙兄弟』といった人気作を生み出してきたヒットメーカーとしても知られる。

 佐渡島氏は、かつての漫画誌の訴求力について言及。これまでは雑誌で連載枠を勝ち取ることが作品を見つけてもらうためのきっかけだったが、『宇宙兄弟』を担当したころから雑誌の力の衰えを感じ始めたという。

 「これまで編集者はただ面白い作品を作り続けることに集中していればよかったが、いまは違う。いいマンガを作ると同時に、そのマンガを見つけてもらうためのシステムが必要だと感じた。それがまさにマンガHONZ」(佐渡島氏)

 「マンガ家って、すべからくマンガを読むことが好きだと思うので、そういう人が書くレビューってそれなりに意味があるんじゃないかなと思って参加しています」――そう話すのは、マンガ家ユニット・うめで原作を担当している小沢氏。「『スティーブズ』ももともと、クラウドファンディングからスタートして紙の雑誌に掲載されるようになった作品。新しい試みをやることが好き」と参加の背景を語った。

実際にレコメンドを受ける

 トークイベント中には、実際のレコメンドの様子も披露された。当日は店内に人が多く本を探すのが困難になるためか、要望を聞くことはせず、マンガHONZでレビューしている作品の傾向から各自の好みと思われる作品を選んだという。

『ゆかりちゃん』をお勧めしているシーン 『ゆかりちゃん』をお勧めしているシーン

 堀江氏に手渡されたのは、集英社の「少年ジャンプ+」で連載中の『ゆかりちゃん』。『GIANT KILLING』の原案を担当している綱本将也氏と、絵描きの結布による三島食品の「ゆかり」に特化した料理マンガを堀江氏は食い入るように読み進めていた。

 このほか、小沢氏にはニコニコ静画で連載中の『Final Re:Quest -ファイナルリクエスト-』が、角野氏には、誘拐した女児を育てる異色の子育てマンガ『ごっこ』、佐渡島氏にはチェコで起こったフス戦争を題材にした『乙女戦争』が紹介された。

 プレオープン時にもレコメンドを体験したという小沢氏。「女性作家で、単巻で終わっていて、絶対にバッドエンドじゃなく僕が読んだことないもの」という無茶ぶりにもドンピシャな作品がすぐに出てきて驚いたという。ちなみにそのときレコメンドされた作品は、『別冊マーガレット』で連載されていた『昏倒少女』。4人はマンガコンシェルジュのレコメンドに満足げな様子だった。

登壇者の4人と、サーチフィールド代表の小林氏(写真右) 登壇者の4人と、サーチフィールド代表の小林氏(写真右)

7月にはイベントもスタート

オープン前にも関わらず、出版社や電子書店など11社が協賛 オープン前にも関わらず、出版社や電子書店など11社が協賛
7月以降にはイベントも予定。イベントはすべて動画配信予定(有料イベントの場合は、動画の閲覧も有料)。こちらは裏サンデーの人気作家と編集長によるトークイベント 7月以降にはイベントも予定。イベントはすべて動画配信予定(有料イベントの場合は、動画の閲覧も有料)。こちらは裏サンデーの人気作家と編集長によるトークイベント
7月にテレビアニメがスタートする『ミリオンドール』とのコラボ企画も 7月にテレビアニメがスタートする『ミリオンドール』とのコラボ企画も

マンガサロン「トリガー」

営業時間:平日 午後4時〜午前0時  休日 午後1時〜午前0時

定休日:なし

座席:最大30席(イベント時)

住所:東京都渋谷区渋谷 3-15-2 コンパルビル 4F

チャージ料:500円(会員制度あり)


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