アドビ、「Adobe Digital Publishing Solution」リリース 時代に合ったパブリッシングを問いかける

アドビは「モバイルこそが日常生活の中心」ととらえ、そんな時代に沿ったモバイルアプリ制作とパブリッシングを融合させたソリューション「Adobe Digital Publishing Solution」をリリースした。

» 2015年07月30日 20時00分 公開
[西尾泰三eBook USER]
(画像出典:Adobe Systems)

 米Adobe Systemsは7月29日(現地時間)、「Adobe Digital Publishing Solution(DPS)」の提供開始を発表した。日本国内でも同日から提供が始まっており、30日間の無償体験版も用意されている。これまで提供してきた「Adobe Digital Publishing Suite」のユーザーは、現状のライセンス契約の一部としてAdobe Digital Publishing Solutionにアクセスできる。

 同ソリューションはこれまで、「Adobe Digital Publishing Suite」として提供されていたもの。もともとは電子出版のソリューションとして登場したが、新DPSはモバイルソリューションとしての性格が強められ、モバイルデバイス向けのコンテンツ配信やAdobe Analyticsと連携したアクセス解析が強化された。価格は個別見積もり。

 これまでと大きく変わった点としては、「アドビの『Adobe Publish』は電子雑誌の何を変える?」で詳しく紹介したのでそちらも一読いただきたいが(Adobe Publishの名称変更は行われなかった)、そのポイントは「記事中心のパブリッシング」(Article-based Publishing)を志向していることだ。

 従来のDPSは、電子化した雑誌などを号単位で配信することが想定されていたが、新しいDPSでは、個々の記事単位を継続的に発信し、読者との継続的な関係を構築するためのものへと進化した。

すでにPCを大きく上回るiOS/Androidデバイスの出荷台数などのデータを示しながら「モバイルこそが日常生活の中心」と話す岩本氏 すでにPCを大きく上回るiOS/Androidデバイスの出荷台数などのデータを示しながら「モバイルこそが日常生活の中心」と話す岩本氏

 これは、「モバイルこそが生活の中心」(アドビシステムズ 岩本崇フィールドプロダクトマネージャー)と話すように、PCからモバイルへのシフトが顕著になる中、ユーザーが肌身離さず使うようになったモバイルデバイスに向けたコンテンツ配信形態を模索した結果といえる。

 表示する画面のレイアウトなどは複雑なコーディングなしに設定でき、その効果測定も標準の機能、あるいはAdobe Analyticsとの連携で行えるため、より効果的な配信をマーケターやデザイナーでも行えるようになった。なお、従来のように号単位の配信も引き続き可能となっているほか、WordPress、DrupalなどのCMSとの連携も行える。

配置した要素のアクセス解析と解析を踏まえた再配置などが容易に行えることの重要性を説くアドビシステムズの秋山直人シニアビジネスデベロップメントマネージャー 配置した要素のアクセス解析と解析を踏まえた再配置などが容易に行えることの重要性を説くアドビシステムズの秋山直人シニアビジネスデベロップメントマネージャー

こちらはカンタス航空が新しいDPSを使ってリリースした「Qantas Magazine」アプリ

 同ソリューションは6月17日からβ版の提供が始まっていたが、グローバルでは4000社近くがこれに触れており、今回の正式リリースに合わせ、カンタス航空、スイスインターナショナルエアラインズ、ノースカロライナ大学、英王立劇場、AECOM、Gather Journalなどが新しいDPSで構築したアプリを発表、または今後の発表を予定している。これらの一覧はこちらにまとめられている。

 現時点で国内企業が新しいDPSで構築したアプリはまだ登場していないが、ibma、アマナ、アンティー・ファクトリー、共同印刷、大日本印刷、デザインスタジオドアーズ、凸版印刷、博報堂プロダクツ、プレジデントが日本におけるクリエイティブパートナーとして名を連ねている。

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