「シルク・ドゥ・ソレイユ」メンバーの妻が世界を旅して出会った、16の魅力的な街

『世界150都市を旅した暮らしで出会った魅力溢れる街16選』の著者・たぐちまりさん。旅行と違い、生活のために世界を旅して回るとはどういう気分なのだろうか。著書に込められた思いとともに話を聞いた。

» 2015年08月29日 06時00分 公開
[宮澤諒eBook USER]
『世界150都市を旅した暮らしで出会った魅力溢れる街16選 〜一度行かないと一生後悔する!? 旅するアーティストの妻が紹介する素敵な街〜』(たぐちまり) 『世界150都市を旅した暮らしで出会った魅力溢れる街16選 〜一度行かないと一生後悔する!? 旅するアーティストの妻が紹介する素敵な街〜』(たぐちまり)

 エンターテイメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」。1984年にカナダで誕生して以降、各国で上演を行い、その演技や舞台装置の素晴らしさから高い評価を得ている。日本では1992年から巡回公演が行われており、2016年2月には東京・大阪・名古屋・福岡・仙台の5つの都市を回る「トーテム」が開幕する。

 シルク・ドゥ・ソレイユでは全体で約20人の日本人パフォーマーが在籍しており、今回話を聞いたたぐちまりさんのパートナーもその一人。たぐちさんの著書『世界150都市を旅した暮らしで出会った魅力溢れる街16選 〜一度行かないと一生後悔する!? 旅するアーティストの妻が紹介する素敵な街〜』は、もともと海外旅行が好きだったたぐちさんが、パフォーマーの妻として世界中を旅して回ったその体験と、訪れた土地で出会った絶景や印象的な街並み、おいしい地元の料理などを紹介している。


 娯楽としての意味が強い旅行とは違い、生活のために世界中を旅して回るとは一体どういう気分なのだろうか。本記事では、たぐちさんが魅了された国や、作中では描かれなかったエピソードなどをお届けする。

一般的な旅と違って、現地に密着した経験ができる

たぐちまりさん たぐちまりさん

―― 初の書籍発売おめでとうございます。まずは、著書に込めた思いを教えてください。

たぐち 生活しながら旅をするというのは貴重な経験だと思います。世界中の素晴らしい光景に出会い、さまざまな人たちとの交流があります。壮大な自然や美しい海に感動し、かわいい街並みにときめき、現地の人の優しさに触れてきました。それを私だけの「思い出」ではなく、感動を「共有」することができればと思い、本書を書きました。

 そしてサーカスと一緒に世界を回るツアー生活というのもなかなか想像できないと思うので、こんな暮らし方もあるのだと、知っていただけたらと思います。

―― 本書では「旅が生活になった」と書かれていますが、やはり旅行とは全然違うものなのでしょうか。

たぐち 少し寂しいですが、旅行に行く前や現地に着いたときのウキウキした気持ちが弱くなりますね。初めての場所でも観光地を訪れるより先にスーパーを探したり、ホテルの部屋のどこで調理をしようか考えるなど、まず生活の基礎を作ることになります。

 その反面、生活が旅になることで現地の食材を使った料理をするなど、一般的な旅行と比べてより現地に密着した経験ができるのは面白いところです。

―― ツアー中は短期間で何度も生活の基礎作りをしなければならないでしょうから、慣れていても大変そうです。これまでにも多くの国を訪れているたぐちさんですが、一番好きな国はどこですか?

たぐち 非常に難しい質問ですが、長期間滞在して魅了された国はブラジルでしょうか。欧米ともアジアとも違う独特の街の雰囲気、地域性のある文化、明るいブラジル人の気質、そして他ではなかなか見ることのできない大自然。

 治安は決して良いと言えませんし、日本からも遠く離れて行きにくい場所ではありますが、また必ず行きたいと思っています。

旅慣れていてもガイドブックは必須

―― 訪れた国で必ずすることってありますか?

たぐち 生活しながら旅をしていると言いつつも、ガイドブックは必ず日本で購入して持って行ってます。インターネットでも情報を集め、評判の良い店で名物料理を食べ、その国にしかないお酒を飲んでいます。

 それから、自国の通貨を持っている国の紙幣を集めるのも楽しみの一つです。

―― 旅する中で食べた、おいしかった料理ベスト3を教えてください。

たぐち この3つですね。

第1位:スイスの友人宅で食べた「チーズフォンデュ」

第2位:チリのサンティアゴにあるスペイン料理店で食べた「パエリヤ」

第3位:アメリカの高級ステーキ専門店で食べた「リブアイのステーキ」


 スイス人の友人とは私が学生のときに知り合ったのですが、10年以上たってから再会しました。彼の家に招待され、近所に住んでいる家族や友人たちも集まって、夕食にはチーズフィンデュを振る舞ってくれました。

 幾つかのチーズを絶妙に混ぜて作ったチーズフィンデュは絶品で、言葉の壁を忘れるほど楽しい夜でした。

―― いま一番行きたい国はどこですか?

たぐち キューバに行ってみたいです。アメリカツアー中に、距離は近いので行きたかったのですが、国交が回復していなかったので別の国を経由しないと行けず、その分航空費も高くなるので断念しました。

 クラシックカーが街中に走るキューバ独特の雰囲気が残っているうちに行きたいです。

シルク・ドゥ・ソレイユ最年少メンバー誕生?

―― 著書に書かなかった面白エピソードや驚きのエピソードなどありましたら教えてください。

たぐち 私の息子は生後4カ月でツアー生活に合流して現在2歳と2カ月なのですが、訪れた国は29カ国になります。ツアーのメンバーには小さいころからかわいがってもらっていて、主人の仕事場にもよく連れて行きます。

 ある日、舞台の裏で遊んでいたときに、偶然取材に来ていた現地メディアのカメラマンの目にとまり、他のアーティストたちの写真に混じってフランスの新聞に掲載されたことがありました。息子の紹介文は「シルク・ドゥ・ソレイユで一番小さな生後9カ月のアーティスト」でした(笑)。

―― 何てオシャレな紹介(笑)。ところで、旅というと旅先で本を読む人が多いと思いますが、たぐちさんがこれまでに読んだ中で一番印象的な本は何になるのでしょう。

たぐち 高橋歩さんの本は旅に出たい欲がかき立てられるので何冊か持っています。『地球を遊ぼう!』を読んで、中米コスタリカまで遊びに行ったこともあります。

―― 本に影響を受けて海外まで行ってしまう、さすがのフットワークですね。紙の本だけでなく、電子書籍も利用していますか?

たぐち 私の生活は持ち歩ける荷物の量が決まっているので、電子書籍は便利で利用しています。

 私にとっての利点は荷物を「軽量化」できることです。そしてもう一つ、暗いところで読めるのも利点ですね。ホテルは基本的に部屋が一つなので、息子が寝た後は真っ暗になります。その中でも読めるのは電子書籍の便利なところだと思います。

―― 生活とマッチした電子書籍の使い方をされているみたいですね。では最後に、著書やインタビューを読む人にコメントをお願いします。

たぐち これまで世界を旅してきて私の心に残った場所、お勧めしたい場所を16カ所選んで、私の経験を交えて紹介しています。たくさんの写真を掲載しているので、各都市の雰囲気を感じていただけると思います。普段の生活が忙しく遠くに旅へ出られない方にも、本に掲載した写真を見ながら一緒に旅をしている感覚を感じていただけたらうれしいですし、旅に慣れている方にも、今度はここへ行ってみたいなと思う場所を見つけてもらえたらと思います。

 シルク・ドゥ・ソレイユのツアー生活についてもコラムを書いているので、ちょっと変わった旅暮らしも見てみてください。私の体験とともに、旅行気分で楽しんでいただけたらと思います。

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