ミドル世代の視点でGALAPAGOSホームモデルを使ってみた:大人のためのGALAPAGOS講座(3/3 ページ)
10型クラスのワイド液晶を搭載しながらも汎用性のあるタブレットPCとは一線を画し、電子書籍リーダー端末に特化したGALAPAGOSホームモデル。細部にツメの甘さが残るところもあるが、マジメに作られたハードウェアだと思う。では、ソフトウェアおよびユーザーインタフェースはどうなっているのか、気になる点を確認してみた。
専用連携ソフト「GALAPAGOS Station」を使う
12月20日からシャープのGALAPAGOSサイトで配布開始となった「GALAPAGOS Station」は、Windows XP以降のOSで動作するGALAPAGOSメディアタブレット用の連携アプリケーションだ。これを使ってメディアタブレットとGALAPAGOS Stationを同期させると、TSUTAYA GALAPAGOSで購入した電子書籍コンテンツのバックアップなどが可能になる。ただし、購入したコンテンツをGALAPAGOS Stationで閲覧することはできない。
GALAPAGOS Stationの画面構成は、メディアタブレットと等しく、上部のタブでデスク/ブックシェルフ/ストア/デバイスを切り替えて使う。デスクは端末側のホームと同等で本棚に購入した本が並んでいるというもので、「未読」および「最近読んだ本」が並んでいる。端末側でも表紙サムネイルを長押しすると下部にメニューが表示され、「未読にする」「書籍情報」「お気に入りに登録」などを選べるが、GALAPAGOS Stationのデスク画面でも表紙サムネイルをドラッグすることで「未読」←→「最近読んだ本」の相互移動が可能となっている。
ブックシェルフは、取り込んだコンテンツにさまざまなタグを付けて整理できるようにする場所だ。ここで「同期対象外」のタグをつけておけば、端末側でコンテンツを削除してもGALAPAGOS Station側にバックアップが残ることになる。
PC上のPDFやTXTファイルを端末に取り込ませるのも、このブックシェルフを使う。ライブラリのマイクリップに対象ファイルをドラッグ&ドロップし、その後に同期を実行すればUSB接続によって端末側にもファイルがコピーされるのだ。
ストアでは、TSUTAYA GALAPAGOSへのアクセスを行う。TSUTAYA GALAPAGOSのURLは非公開で通常のWebブラウザからではアクセスできないため、GALAPAGOS端末以外でコンテンツを確認できるのはここしかない。GALAPAGOS Stationのストア画面では、コンテンツのダウンロード購入のほか試し読みなども可能である。なお、ここでダウンロードしたコンテンツは、その後の同期によって端末側にコピーされる。
気をつけたいのは、ストアへのログインに必要なストアアカウントには、メディアタブレット端末固有のユーザーIDとパスワードをそのまま使うという点だ。さらに、ストアアカウント作成時にWindowsのユーザーアカウントもひも付けされる。そのため、1台のパソコンでユーザーIDの異なる複数のメディアタブレットを使う際には、複数のWindowsユーザーアカウントを用意し、それらにGALAPAGOS Stationを個別インストールしなければならない。
コラム:機器認証に関する疑問
ここで疑問に思ったのがGALAPAGOS Station側にバックアップしたコンテンツは、ダウンロード時とは別のユーザーIDを持つ他の端末と同期(コピー)できるのか? という点だ。おそらくDRMの関係上、許されていないだろう。ユーザーIDを用いた暗号化によって、同型・他IDの端末では閲覧できないはずだ。
このとき、もしGALAPAGOS端末が故障しても修理によってユーザーIDが引き継がれるなら問題はなく、microSDカードに不具合が発生しても端末側のIDさえ無事なら復元できる。では、改良型の新機種などが発売されたときはどうすればよいのか? 出先でGALAPAGOSの名を冠する携帯電話やスマートフォンを使い、家庭内ではホームモデルを使いたいときなども、端末ごとにコンテンツを買うことになってしまうのだろうか?
最後のデバイス画面は、同期を実行することでメディアタブレット(microSD)の情報を表示する。読書経過グラフが表示されるのは面白い試みといえよう。「詳細設定」はストアのおすすめ情報の取得や同期タイミングの設定を行うもので、「データ移行」タブ画面の「エクスポート」「インポート」によって、GALAPAGOS Stationに保存されたコンテンツやタグなどの一括書き出し、読み込みが可能である。取得したコンテンツを光メディアなどに記録しておきたいときに使えばよい。
さて、裏技ということでもないが、ここでひとつ。Windowsからメディアタブレットはどのように見えているか? である。端末とPCをUSBケーブルで接続すると、PC側からはUSBデバイス(ドライブ)として見える。しかし、GALAPAGOS Station(のドライバ)が組み込まれていない状態では、容量ゼロのリムーバブルドライブとして認識しているだけで何もできない。しかし、GALAPAGOS Station導入後はストレージとして開放され、エクスプローラーから内部フォルダにアクセスできるようになる。マイクリップフォルダーも見えているので、GALAPAGOS Stationに取り込ませて「同期」を実行しなくても、メディアタブレットへの直接転送が可能だ。
もっともそこまでしなくても、端末からmicroSDカードを取り出し、カードリーダー/ライターを使ってPCで普通にアクセスすれば、GALAPAGOS電子書籍コンテンツがどのように格納されているかが分かる。
GALAPAGOSホームモデルの本棚画面では、コンテンツの表紙サムネイルしか表示されない。いわゆる自炊したデータなど、PCから導入したPDFやTXTファイルが並ぶと何が何だか分からない状態になってしまう。contentsフォルダにデータ本体とイメージ(JPEG)ファイルを同じファイル名にして格納すれば、端末側で表紙サムネイルが表示できるようにも思えるが、実際にそうしても表紙サムネイルは表示されなかった。この辺り、books.dbファイルをいじれば、表紙サムネイルが表示できるように思う。
クラウドサービスとしてのGALAPAGOS、その端末がメディアタブレットGALAPAGOSホームモデル(EB-WX1GJ)である。コンテンツフォーマットの規定からコンテンツ販売、ハードウェアのメンテナンスまで、すべてを抱えることできめ細やかなサポートが期待できるのはよいのだが、独占化によって競争原理が働かないのが気になるところだ。
GALAPAGOSのキーワードは“進化する”だという。しかし、実際の自然界はシビアなものである。生物学で言うところの「進化」には、突然変異と自然淘汰(とうた)という2つの側面が欠かせないからだ。変異(変化)によって多様性を生み出しても、淘汰(とうた)圧に耐えたものしか生き残れない。ガラパゴス諸島の生物群が独特なのは、「進化したから生き残った」のではなく、隔離された環境のために淘汰(とうた)圧が低かっただけなのだ。これからのGALAPAGOSが、どのように変化してこの圧力に耐えていくのか? しばらくは注目し続けたい。
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