楽天が買収したKoboとはどんな企業なのか?
楽天が3億1500万ドル(約236億円)での買収を発表したカナダのKobo。電子書籍ビジネスを展開する同社は国内ではあまり知られていないが、海外ではよく知られた存在だ。ここではKoboがどのような企業なのか紹介しよう。
楽天が11月9日に3億1500万ドル(約236億円)での買収を発表したカナダのKobo。2009年に創業した比較的若い企業といえる同社のもともとの親会社はカナダの大手書店チェーンIndigo Books & Music。電子書籍関連のビジネスを展開している同社について簡単におさらいしておこう。
Koboの電子書籍リーダー端末・タブレット
Koboが提供している電子書籍リーダー端末・タブレットとしては、E Inkを採用した6インチのリーダー端末「Kobo Wireless eReader」(Kobo Wi-Fi)および「Kobo eReader Touch Edition」(Kobo Touch)がそれぞれ2010年9月と2011年5月に発表されており、価格はそれぞれ99.99ドル、139.99ドル。Kobo Touchは簡単な手間で日本語EPUBの表示もできることが判明している。詳しくはレビュー記事を参照してほしい。
また、AmazonのKindle Fireの対抗馬となる7インチタブレットとしてAndroidタブレット「Kobo Vox」を2011年10月に発表している。こちらの価格は199ドル。
Koboの製品に関する必読記事
- カナダ発の“日本語表示可能な”電子書籍リーダー――Kobo eReader Touchレビュー
- kobo、Kindle Fire対抗の7インチタブレット「Kobo Vox eReader」を発表
- 「Nook Color」と「Kobo Vox」の比較
koboで特徴的なのは「Reading Life!」と呼ばれるソーシャルリーディング機能。読書中の本の読書統計を表示する“Reading Stats”と、ユーザーのさまざまな行動に対してスタンプのようなものをくれる“Awards”などが用意されており、競合他社と比べてもこの分野では先進的だといえる。
前者は、現在読書中の本について何%読んだか、何回ページをめくったか、何時間読んでいるかといった情報や、読み終えた本の冊数やその全体の中での割合、トータルでの読書時間をグラフなどで表示するもの。後者は、モバイルアプリ「Foursquare」に似たモデルを読書体験に持ち込んだものだ。
国際展開状況
電子書籍版権をグローバルレベルで獲得するという方法で、早くから国際展開を視野に入れていたKobo。
北米市場への展開に当たっては、米国の書店チェーン第2位だったBorders Groupと提携、本格参入を果たしていた。その後Borders Groupが倒産・精算となったため、Borders Groupの既存ユーザーを引き受けている。また、8月には米国の大手家電量販店であるBest Buyの店舗でリーダー端末の販売が開始された。
欧州市場への展開は、当初の予定よりは遅れているようだが、ドイツやフランス、英国などで端末の販売および電子書籍ストアの開店を果たしており、順調に拡大している。
アジア圏への進出については、今年1月に、アジア諸国の中国語市場における電子書籍リーダー端末の販売に注力する意向を示しており、台湾・中国・香港にそれぞれに支社を開設、中国語書籍市場の開拓に乗り出す姿勢であることが伝えられていた。
出版部門の立ち上げも
米Amazon.comがそうしているように、Koboも自社で出版部門を持つ考えを明らかにしている。自社で出版部門を持つ最大のメリットは、出版社とのわずらわしい交渉が不要になることだ。Koboの出版部門の立ち上げは2012年初頭に予定されている。
今回、楽天がKoboを買収したことで、楽天はKoboのハードウェアや電子書籍配信プラットフォームを手中に収め、すでに展開しているRabooとの融合により国際競争力のある電子書籍配信サービスへと進化させることができる。RabooはソニーのReaderとも相互接続を果たしており、今回の発表と合わせて国内外で注目される存在に進化してきたということができるだろう。
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