「縦書き」は誰が必要としているのか――インプレスR&Dの調査から
日常生活はほぼ横書き、好きな作家の作品が横書きでも構わない。しかし、出版社の縦書き表示への取り組みは支持する――そんな調査結果が報告された。
インプレスR&Dが実施した書籍の縦書き/横書きに関する意識調査の結果が面白い。同調査は、同社発行の電子雑誌「OnDeck」の読者と、gooリサーチのアンケートパネルを対象に実施されたものだ。
そもそも「縦書き」という記述方式は、日本では新聞や活字ものの文芸作品を中心に利活用されているが、国際的には少数派だ。アジア圏でも、欧米で一般的な左から右の横書き(左横書き)の記述方式が普及しつつある。しかし、こと電子書籍に目を向けると、2011年にIDPF(International Digital Publishing Forum)によって最終推奨仕様となった電子書籍フォーマット「EPUB 3」では、縦書き表示がサポートされた。国際的にはマイナーであるはずの縦書きがサポートされることになったのは関係者の努力による部分も多いのだが、同調査は、出版産業にかかわる人間と一般ユーザーそれぞれが縦書き/横書きをどのようにとらえているのかを浮かび上がらせた調査となっている。
同調査結果によると、日常生活で文書を「書く」際、縦書きは極めて限定的(OnDeck読者で2%)にしか使われていなかった。また、「読む」方についても、4割程度が横書きであっても購入すると回答、消極的な横書き支持(縦書きでないのは気にはなるが好きな作家の作品なので購入)も含めると6〜7割が記述方式を意識しておらず、コンテンツが縦書きかどうかはさほど重要な要素ではないことがうかがえる結果となった。
また、電子書籍版のみ横書きで先行販売されたと仮定した設問に対しては、「紙の書籍が出るまで買わない」の割合が高くなる傾向がみられ、多くの一般ユーザーは、コンテンツが縦書きか横書きではなく、紙か電子かが選択の決め手になっていると紹介している。
同調査の全容と分析結果は、1月5日発売の「OnDeck monthly 2012年1月号」に掲載されている。
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