集英社、EPUB 3形式のコミック作品を複数ストアで配信
集英社は自社のコミック作品をEPUB 3で配信開始した。ブックリスタ系の「Reader Store」で配信が始まっているほか、Booklive!でも3月9日から配信予定。EPUB 3コミックコンテンツの商用化は日本初。
電子書籍共通配信プラットフォームを提供するブックリスタは3月2日、集英社が提供するコミックを、電子書籍の国際規格「EPUB3」フォーマットで配信開始した。コミックコンテンツをEPUBで商用配信するのはYahooブックストアなどで事例が存在しているが、今回はEPUB 3で配信開始されている点が新しい。すでに同社がプラットフォームを提供しているソニーの「Reader Store」で販売されているのが確認できる。
配信が始まったタイトルは、3月3日から映画「ライアーゲーム 再生」が公開予定の『LIAR GAME』や、別冊マーガレットで連載中の『君に届け』、『JIN―仁― 』『ROOKIES』(いずれも文庫版)など20タイトル(153点)で、3月中に配信作品を約40タイトル(約340点)に拡大予定としている。Reader Storeでは集英社のコミック作品の取り扱いを開始したことを記念し、期間中対象作品を5冊以上購入したユーザーを対象に、Reader Storeで利用可能なソニーポイント(最大2500ポイント)をプレゼントするキャンペーンを実施する。ただし、EPUB 3形式の作品を閲覧できるのはSony Tabletシリーズのみで、電子書籍リーダー端末「Reader」シリーズは後日対応予定とされている。
BookliveはEPUBビューワエンジンを開発、3月9日から展開予定
また同日、凸版系のBookliveからも同様の発表が行われている。こちらは3月9日からAndroid端末向けに提供開始としており、まずは9タイトル(46点)を提供する。Bookliveは集英社協力の下、EPUBビューワエンジンを独自開発、業界で初めて縦画面(ポートレート表示)での横スクロール見開き表示を実現した。
見開きページの表示はスマートフォンのようにディスプレイサイズが小さな端末が苦手とするところで、横画面(ランドスケープ表示)での表示や、可読性を犠牲にして縮小表示するなどして対応することが多かった。BookliveのEPUBビューワエンジンでは縦画面でも横スクロールを取り入れた見開き表示を行うことで読書体験の向上に努めている。こうした表示を可能にするためEPUBに拡張を加えられているとみられ、その手間の分が配信タイトルの違いと考えられる。同社では4月以降、Android端末以外のプラットフォームでもEPUB形式タイトルの閲覧に順次対応させていくとしている。
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