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CSSによる日本語組版の実装はここまできた――EPUB最新動向
イーストと日本電子出版協会は、国際的にも注目されている電子書籍ファイルフォーマット「EPUB」の最新動向として、HTMLレンダリングエンジン「Webkit」で日本語組版の実装が進んでいることを紹介した。
Webの技術でここまでできる
イーストと日本電子出版協会(JEPA)は1月19日、2011年5月には最終仕様が確定するとみられる電子書籍ファイルフォーマット「EPUB 3.0」についての最新動向としてWebブラウザなどでの実装が進んでいることを紹介した。両社は、総務省の平成22年度「新ICT利活用サービス創出支援事業」の「EPUB日本語拡張仕様策定」を受託している。
XHTMLやCSSといった国際標準をベースとするEPUBは、グローバルでは電子書籍の標準的なファイルフォーマットとして採用が進んでいるが、アジア圏の言語で必要になる縦書きやルビ、禁則処理、行調整)、圏点(傍点)といった機能が現在使用策定中のEPUB 3.0で追加されるかどうかに国内の出版業界の注目が集まっている。
現在、これらの追加はほぼ確定しており、Appleが中心となって開発されているオープンソースのHTMLレンダリングエンジン「Webkit」では、すでに日本語組版の実装が進んでいる。
イーストは、WebKitにおけるCSSによる日本語組版の実装を検証する目的でサンプルファイルを用意しており、スタイルシートで縦書き(writing-mode:vertical-rl;)をサポートするWebブラウザであれば、縦書きでの表示を確認できる。こうした状況を踏まえ、年内に日本語組版がこれらに実装される見通しであるとしている。
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