出版社、99セント電子書籍の利点を理解
国内なら85円で販売される電子書籍アプリなどを目にしたことがある方も少なくないだろう。こうした値付けは業界にとって本当に忌むべきものなのだろうか。
電子読書の人気が盛り上がって以来、電子書籍対印刷書籍を競わせ、出版陣営の間で際どい闘争が行われている。はじめに、電子書籍1冊99セントという価格づけが業界を滅ぼすという主張の中、低価格の電子書籍が印刷書籍マーケットへ与える影響への批判が、3ドル以下の電子書籍の支持者に対して緩やかに行われている。
初期の議論のころから、電子書籍が読書社会で果たしている目的は形になり始めており、支持者は電子出版の利用に賞賛の声を上げている。しかし、現在でも、従来の出版社は移り変わりの激しいマーケットについていくために、革新的方法で主流読者層に電子書籍を読んでもらうための良い方法を探している。
状況を理解している従来の出版社は、まもなく発売される印刷版タイトルの前編として電子書籍を提供するといったように、従来の印刷書籍の販売につなげるために電子読書のリーチを活用している。これらのタイトルには印刷版の本編に収録できない極めて重要な裏話やキャラクターの成長が盛り込まれているが、より重要なのは間もなく発売される印刷版への興味をかき立てる低価格の投資であるということだ。素晴らしいのは、少なくともファンにとって現在リリースされている電子版前編が注目を引く99セントという価格で入手可能で、ハードカバー版に20ドル以上の価格を付ける賭けに出る前に関心を生み出す素晴らしい手段となっている。
Wall Street Journal向けの記事で、アレクサンドラ・オルター氏は電子書籍の前編が本編リリースよりかなり前に発売されている幾つかのタイトルを明らかにした。その1例は、ブリタニー・ジュラゴテリス氏の「What the Spell?」で、これは間もなく発売されるSimon & Shusterのタイトル「Life's A Witch」の前編で、これが実際に電子書籍で3回に分けてリリースされる。
電子出版と印刷出版のクロスオーバーというこの形式は何らかの興味を獲得しタイトルを売り込むという、特にデビューしたての著者と仕事をする際に欠かせないタスクに関して素晴らしい手段になっている。より重要なのは出版業界の隔絶化した2つの出版方法をつなげ、印刷書籍と電子書籍が読書する消費者の財布をめぐって競合するよりも、むしろ共存する可能性を確認するのに正しい方向へ一歩踏み出したということだ。
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