大手6大出版社、Amazonとの契約を更新しない?
価格操作と反トラスト法違反の疑いでAppleと5大出版社に対して捜査が行われているが、Amazonもまた契約周りで大手6大出版社とこじれている。
Telereadのポール・ビバ氏は、Salonが最近掲載したAmazonが現在抱える幾つかの悩みの種に関するまとめ記事について、かなり簡潔な分析を書いた。奇妙なことだが、ビバ氏が指摘するように、数ページの記事の中で2つの大きな問題がほぼ埋もれてしまっている。
最初の問題はAmazonが小規模の独立系出版社に年間100万ドルもの助成金を提供していたことだ。Amazonの批判者が何度も指摘してきたように、書籍小売販売業と出版業の巨人である同社の行いは受け入れがたい。助成金は独立系出版社を売上面で完全にAmazonに依存させ従属させるための手法で、出版業界を支配する邪悪な行動だとする記事はAmazonへの批判にあふれている。
もう一つの問題は衝撃的で、この情報が記事の冒頭で触れられていないのが不思議なほどだ。ビバ氏の説明によると、Amazonは大手6大出版社に契約書を送付したが、大手6社は契約を更新しないことにしたという。この大胆な措置はIndependent Publishng Group(IPG)がAmazonの新契約基準に従わないことにした結果、同社の4000冊もの電子書籍タイトルの「購入」ボタンがAmazon.com上で無効化されてからそれほど経たないうちに具体化した。現在、大手6大出版社はAmazonの新契約ガイドラインに反対しており、ひとまず契約しないことにしたようだ。
価格操作と反トラスト法違反の疑いでAppleと5大出版社に対して捜査が行われているが、その現状についてGoodeReaderは何度か記事を掲載してきた。Amazonとの契約拒否は司法省の捜査が何を明らかにするか見届けるまでの出版社側の注意深い経過措置にほかならない可能性はあり、またそう願いたい。
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