Microsoft、Barnes & Noble新子会社への出資は総額6億ドル以上か
MicrosoftはBarnes & Nobleの新しい電子書籍子会社に3億ドルを出資する。追加の資金供給を行う考えもあるようで、しばらくは目が離せない状態が続きそうだ。
米大手書店のBarnes & Nobleが電子書籍リーダー「NOOK」関連事業と大学教科書事業を新子会社化し、そこに米Microsoftが3億ドル(約240億円)を出資することが4月30日(現地時間)に発表された(関連記事参照)。
Barnes & Nobleが成長めざましいNOOK関連事業のスピンオフを検討していることは以前から伝えてきた。今回は買収ではなく出資だが、この新たな新会社にMicrosoftは3億ドルを出資し、持ち株比率で約17.6%を有することになる。ざっと見積もれば、Microsoftは17億ドル規模の価値を新会社に見ているということになる。これはBarnes & Nobleの現在の時価総額(約8億ドル)の2倍超に当たる額だ。
さらに、Wall Street Journalが伝えるところでは、Microsoftが支払うのは3億ドルで終わりではなく、今後も継続して資金供給を行うことになっている。新会社を通じた電子書籍の売上から一定のレベニューシェアを受け取る対価として1.8億ドル、さらに国際展開のための資金として2500万ドルを5年間にわたって供給する。これらを合わせると、今回の出資は6億ドル規模のものであることが分かる。
MicrosoftはかつてはLinuxに、現在では主にAndroidに特許ライセンシング戦略を仕掛けている。要は特許侵害訴訟をちらつかせながらライセンス料をデバイスメーカーなどに支払うよう求めるものだが、この矛先はBarnes & Nobleにも向けられていた。Microsoftは2011年3月、Barnes & Nobleの電子書籍リーダー端末が自社の特許を侵害しているとして、Barnes & Nobleのほか、同社の電子書籍リーダー端末およびタブレット機器のメーカー2社を米国際貿易委員会(ITC)と米ワシントン州西地区連邦地方裁判所に提訴している。その後、訴訟問題を簡素にするためとして、2012年2月に一部特許(# 5,889,522)の訴えが取り下げられている。
しかし今回の出資に当たり、両社は特許侵害訴訟で和解。Barnes & Nobleと新子会社はMicrosoftの特許に対しライセンス料を支払うことになる。この額は不明。
NOOK関連事業の新子会社化が目を引くが、そこに大学教科書事業「Barnes & Noble College」も入っていることに触れておくのは価値があるだろう。Barnes & Noble Collegeは600店以上の大学書店を運営しているが、Barnes & Nobleの電子教科書プラットフォーム「NOOKstudy」の開発もここが行っている。電子教科書はAppleが先行しようとしている領域だけに、NOOKstudyのソリューションに期待するMicrosoftの思惑も垣間見える動きだ。
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