BEAでのAmazonバッシングについて:BookExpo America Report
BookExpo America 2012では特定のプラットフォームや小売企業が徹底的にバッシングされ、中傷めいた発言まで飛び出した。Amazonに対する風当たりの強さはその代表的なものだ。
現在、電子出版業界では多くのこと――感動的なこともあれば、恥ずべきこともある――が起こっている。ポジティブなニュースとして、GoodEReaderではBookExpo America(BEA)の会場から電子教科書とクラウドベースの教材へたった1年で完全移行した学校についてお伝えした。
一方、ネガティブなニュースとして、BEAの出席者に米国司法省の大手出版社への捜査や反トラスト法訴訟についての議論は行わないよう緊急の警告が行われたことが挙げられる。期間中、ある不運な講演者のプレゼンテーション中、講演者が電子出版業界で経済的な成功を収めた企業の一例としてAppleを取り上げたところ、静まり返る部屋で「インサイダー取引だ!」という野次が響き渡った。
しかし、明らかにおかしな変化は今年のイベントでAmazonが徹底的にバッシングされ中傷めいた発言まで行われたことだ。オンライン小売の巨人に対して業界人が頻繁にあきれ顔をしたり意見したりしているが、卑劣な発言や非難が講演の舞台からも聞かれるのは近年の記憶にはないことだ。
ある出席者は、講演者がAmazonに対して非難を浴びせるために本来のトピックから逸れたので、立ち上がってソーシャルメディアのセッション会場を後にした。自主出版についてのある講演では、専門家が1つの配信プラットフォームとだけ契約を結ばないよう出席者に強い調子で警告していた。
IDPF Digital Bookイベントの特別会場で、最後のゲストスピーカーとなったThe Author’s Guildのポール・エイケン氏は、Appleと5大出版社に対する米国司法省の捜査について10分間で一方的な説明を行い、Amazonは捜査は訴訟に名前が上がっていないにもかかわらず、「暴利をむさぼるAmazonの価格モデル」というフレーズを3回も繰り返した。これは今年のイベントでそれに関する話題を持ち出さないように全体に警告が行われた後のことだ。
特定のプラットフォームや小売企業を支持することについてGoodEReaderは中立の立場を取るつもりだが、Amazonの味方はいないのだろうか。Amazonの売上高は一部の人が軽蔑するふりをするほど誰もがAmazonを軽蔑しているわけではないことを物語っているが、皆がこういった中傷や当てこすりを楽しんでいるわけではないということが分からないのだろうか。
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