パブー、作品を外部ストアに配信できる機能を追加――第1弾はkoboイーブックストア:8月末6万タイトルの要?
個人出版サービス「パブー」が外部ストア連携機能を追加。連携する外部ストアの第1弾は、楽天グループのKoboが運営する「koboイーブックストア」。個人出版作品が総合系の電子書店に一斉になだれ込みそうな勢いだ。
個人出版サービス「パブー」などを手掛けるブクログは8月9日、パブーで作成・公開した電子書籍作品を外部の電子書店へ配信できる「外部ストア連携機能」を追加した。外部ストアの第1弾は、楽天グループのKoboが運営する「koboイーブックストア」で、配信開始時期は8月中旬を予定している。
同機能で外部の電子書店に配信できるのは、著者が明示的に選択したものに限られる。パブーでは従来、有料書籍については著者70%、パブー30%という利益配分としていたが、同機能で外部の電子書店に配信した場合、電子書店のマージンが入るため著者の利益配分は50%〜60%となる。koboイーブックストアに配信される作品については著者の取り分は50%。
これは推測だが、ブクログとkoboイーブックストアに配分されている50%は、プラットフォームの規模から考えて楽天が有利になっていると思われる(例えば楽天koboが35%、ブクログが15%といった具合に)。ブクログとしては、従来より利幅の低いビジネスとなるが、Koboに配信することで販売機会が増えることを天秤にかけ、この判断をしたとみられる。
今回の発表はあくまで著者が希望すれば、というもの。従来通りパブーだけで展開することも可能で、この場合の料率は従来通り著者70%、パブー30%。パブーに置かれたものが販売数は少なくても利益配分の関係でむしろ利益になるというのも十分にあり得る。なぜなら有限のスペースで大量のコンテンツを露出するのは困難で、大半の作品は埋もれてしまうからだ。リコメンドの仕組みなどでタッチポイントを増やそうとする取り組みはあるが、総じて目指すところには遠い。
いずれにせよ、この発表により、楽天koboが8月末までに累計6万タイトルをラインアップ、としている意図がおぼろげながらに掴めたようだ。当初7月末までに3万タイトルの日本語コンテンツをそろえるとしながらも達成されず、現時点でも2万4574タイトル程度。本当にそれが達成できるのか不安視されているが、個人出版、あるいはブログ、メールマガジンといった部分の電子書籍化も含むのなら、つじつまも合う。出版社のコンテンツだけではないということなのだろう。なお、パブーには7月末時点で約2万5000作品が公開されている。
koboは海外で、個人出版サービス「Kobo Writing Life」をすでに展開しているが、国内では同サービスの具体的なローンチスケジュールには言及がない。今回の取り組みを見るに、国内の個人出版サービスとパートナーを結び、すでに存在する日本語コンテンツを増やすことを優先した、とみることもできるだろう。koboに置いたらそこの売り上げが一番だったということになれば、koboと直接やりたいと考える著者も増えるかもしれず、そうすれば、Kobo Writing Lifeへの期待も自然と高まっていくとみられる。
作り手の側からみれば、テキストベースで表現するブログやメールマガジンなどと同じように、電子書籍として、出版社の作品と同列にストアに並ぶというのは可能性を感じる内容だが、受け手からすれば、膨大な有象無象のコンテンツに埋もれてしまうとき、そこからどう玉と石をどう選り分けていくかが改めて問われることになるだろう。
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