PenguinとRandom House、経営統合の可能性
PenguinとRandom Houseの経営統合が議論されていることを親会社が正式に認めた。米国史上最大となる出版社の経営統合が図られるかもしれない。
BertelsmannとPearsonはそれぞれの子会社であるPenguinとRandom Houseを経営統合することで交渉入りしたとの声明を発表した。声明によると「PearsonはBertelsmannとPenguinおよびRandom Houseの統合可能性について議論していることを正式に認めます」とある。
成立する可能性が高いとの声もあるこの統合が成立すれば、米国史上最大の出版社の経営統合になるだろう。Publishers Weeklyは数字をひもといて、「2011年にRandom Houseの全世界での売上高は17億5千万ユーロ(現在の為替レートで22億ドル)、一方Penguin Groupの売上高は10億4百万ポンド(17億ドル)となっている。米国での経営統合により売上高はおよそ18億ドルとなり、Random House PenguinはBookStatsによる業界全体の卸売りベースでの推定売上高125億ドル(宗教書をのぞく)のおよそ16%を占めることになる」という。
PearsonはPenguinとThe Financial Timesを所有している。経営統合の思惑が広まったのは15年間CEOを務めたデーム・マージョリー・スカルディン氏が数週間前に辞任を決意したタイミングで、評論家によるとFinancial Timesは売却される見込みだという。経営トップの新CEO、ジョン・ファロン氏は出版業界での経験を著しく欠いている。ファロン氏は余計な事業への投資をやめて、教育業界に集中したいと表明した。統合が実現すれば、出版および教育事業を経営するのに必要な資金をPearsonに提供するだろう。
経営統合は両者に利益をもたらし、特定ジャンルの出版レーベルが共通の経営資源を利用できるようにするものだ。具体的にはAce、Alfred A. Knopf、Anchor、Author Solutions、Avery、Ballantine、Bantam、Berkley、Blue Rider Press、Current、Del Rey、Delacorte、Dell、Dial、Doubleday、Dutton、ESPN、Everyman’s Library、G.P. Putnam’s Sons、Golden Books、Gotham Books、Grosset & Dunlap、HP、Hudson Street Press、Jeremy P. Tarcher、Jove、Modern Library、Nan A. Talese、New American Library、Nickelodeon、Obsidian、One World、Onyx、Pantheon、Philomel、Plume、Portfolio、Prentice Hall、Presido、Price Stern Sloan、Razorbill、Riverhead、Schocken、Schwartz & Wade、Signet、Spectra、Spiegel & Grau、Step Into Reading、Stepping Stone、Sylvan Learning、Viking、Villard、Vintageといったレーベルだ。
The Booksellerの編集者であるフィル・ジョーンズ氏はThe Guardianに対し、「PenguinとRandom Houseの経営統合は書籍、電子書籍、アプリ分野で強力な消費者向け出版社を生み出します。英国での市場シェアは25%に上り、いかなる契約であれ独禁当局からなんらかの調査を受ける可能性があります。経営統合を実現するために事業の一部を売却しなければならないとしても、英語圏で史上最大の出版グループを生み出すことになるでしょう」と語った。
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