2月27日、官報上にビットウェイとBookLiveの合併公告が掲載された。
いずれも凸版印刷グループの両社は、それぞれ電子書籍の取次と電子書店を事業として展開している。ビットウェイはケータイコミック時代から業界最大手の電子書籍取次として展開している。BookLiveは2011年2月に事業を開始、2012年3月には三井物産、日本政策投資銀行、東芝、日本電気(NEC)と資本提携、4社を引受先とする総額約29億円の第三者割当増資を実施するなどして事業を拡大させてきていた。
まだ両社からのリリースは出ていないが、官報には、BookLiveがビットウェイの権利義務を継承するとある。これを文字通り読むと、BookLiveが電子書籍の取次業務も手掛けるということになるが、筆者の個人的な見解では、2012年4月に立ち上がった「出版デジタル機構」にそうした取次の事業を(段階的に)渡すのではないかと思われる。
電子書籍の普及促進を目的に産業革新機構の出資などを受け2012年4月に立ち上がった「出版デジタル機構」は、経済産業省の「緊デジ」事業などと連携しながら年度中に約6万タイトルを、機構としては5年後に100万点の電子化を推進する考えを示している。しかし、その道は順風満帆でもない様子が見て取れる。7月にはビットウェイと電子書籍取次・配信システムを構築していることを考えると、ここにビットウェイの事業を加えることで、機構としても事業のスピードアップを図ることができるとみられる。
All Aboutで電子書籍のガイドを務めている上村充弘氏もこの件に触れているので一読をお勧めしたい。ビットウェイと並ぶ電子書籍取次会社として知られる大日本印刷グループのモバイルブック・ジェーピーの今後の動向と合わせて、注目される動きだ。
なお、ビットウェイが運営する電子書籍販売サイト「ビットウェイブックス」は3月末でサービスを終了することがアナウンスされている。
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