岐路に立つBarnes & Nobleの電子書籍リーダー
自社の電子書籍リーダーが苦戦を強いられているBarnes & Noble。2013年度第3四半期の決算でもこれが顕著に表れているが、NOOK製品ラインを製造中止する計画はないという。
Barnes & Nobleは電子書籍リーダー端末と電子書籍販売で構成されるNOOK部門での損失をレポートしている。Barnes & Nobleの消息筋によると、同社はハードウェア販売から撤退し、他企業への技術ライセンス供与へ軸足を移す可能性があるという。
「Barnes & Nobleが完全にハードウェアビジネスから撤退することはないでしょう。しかし、包括的なコンテンツの電子カタログにより注力するのではないでしょうか」と匿名の消息筋は同社の戦略について語っている。
Barnes & Nobleは競争上の優位性を提供するためSamsungとMicrosoftにNOOK Mediaプラットフォームのライセンス提供を開始するようだ。PearsonとMicrosoftはBarnes & Nobleのデジタル戦略に早くから投資を行なってきた。Barnes & Nobleの書店チェーンからNOOK電子書籍リーダーおよび電子書籍事業をNOOK Mediaとしてスピンオフしたことが同社のエコシステムを他企業へライセンス提供する強い前触れとなった。
Barnes & Nobleは自社のハードウェアラインに対する関心が少しずつ失われていくのを目の当たりにしてきた。NOOK HDとHD+はハードウェアとしては非常に堅実だが、iPad、Kindle Fire、Samsungのタブレットなどに押され市場シェアを落としている。なぜ、NOOKには人気がないのだろうか。その大きな理由の1つが米国外顧客のサポートだ。Barnes & Nobleは同社製品の購入とオンラインブックストアへのアクセスを英国および米国居住者に限定した。両国ではハードウェアが豊富に展開されており、ほとんどの人はApple製品かKindleを購入する。ハードウェアで競合するのは経営上意味をなさず、ハードウェアの販売マージンはいかなる成長を期待するにも低すぎる。
タブレットは現在、ここ1年のスマートフォン業界を反映しはじめている。SamsungとAppleが市場全体の75%を占め、同様のことがApple、Amazon、Samsungに起きている。それによりBarnes & Nobleは市場シェアを落としている。
アップデート1:レン・リッジオCEOによると同氏はBarnes & Nobleの全689店舗とBN.comを買収するためにSECの手続きを終えたという。小売りチェーンとデジタル部門に関して何か大きなことが起こりそうだ。
アップデート2:メリー・エレン・キーティング氏は「はっきりさせておくと、受賞歴のあるNOOK製品ラインを製造中止する計画はありません」と語った。
関連記事
- Barnes & Nobleが二分割か、創業者が実店舗689店を個人買収オファー
米書店チェーン最大手のBarnes & Noble会長を務めるレナード・リッジオ氏が、紙書籍部門の個人取得を会社側に提示した。 - Barnes & NobleのNOOKと電子書籍エコシステムの歴史
米国最大の書店チェーンのBarnes & Noble。電子書籍市場に乗り出して4年ほどがたとうとしているが、その軌跡をここで振り返ってみよう。彼らの小売パートナーとの関係にも最後に触れる。 - Barnes & Noble、2013年のNOOK売り上げ減少を認める
Barnes & Nobleは自社の電子書籍リーダーと電子書籍の売り上げが期待通りに推移していないことを明かした。彼らの次の一手は? - Microsoftが3億ドル出資する電子書籍企業NOOK Media誕生 Barnes & Nobleの子会社として
Barnes & Nobleが電子書籍リーダー事業をスピンアウトし、Microsoftが3億ドルを出資する新企業NOOK Mediaが設立された。まずはWindows 8向け電子書籍アプリをリリースする。
関連リンク
Copyright© 2015 Good E-Reader. All rights reserved.
(翻訳責任について)
この記事はGood E-Readerとの合意の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。