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これでもう迷わない、電子書店完全ガイド――iBookstore(速報版)あなたに合った電子書店を見つけよう(4/5 ページ)

eBook USERがお届けする国内の主要な電子書店の徹底レビュー。そう、これは“書店のレビュー”だ。第11回となる今回は、日本語書籍の取り扱いが始まったばかりの「iBookstore」速報版をお届けする。

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いつでもどこでも簡単に読めるか?

 iBookstoreで販売している電子書籍は、iOS端末、つまり、iPhone、iPod touch、iPad、iPad miniで読むことができます。Android、Windows PC、Macintoshからの購読には未対応です(☆-0.5)。

 iBookstoreで購入した電子書籍を読むときに、改めて端末登録などの手続きを踏む必要はありません。端末を最初に利用する際に、Apple IDの設定とアクティベーションを済ませているためです。購入した書籍は、購入時に自動的にダウンロードされます。ダウンロードが完了していれば、ネットワークの接続がなくても読むことができます。

 ライブラリの「コレクション」情報や、最後に読んだ位置、マーカー・ブックマークなどは自動的にiCloud上に保存され、他の端末とも同期されます(☆+0.5)。iPadで読んでいた続きを、外出先でiPhoneから読むといったことも簡単にできます

 なお、iTunes Storeサービス規約によると、1つのアカウントからダウンロードできるのは最大で10台までという制限があります。これは他の電子書店に比べると、かなりゆるやかな制限です(☆+0.5)。



iPhoneで購入した書籍が、iPadにも表示されている

[コレクション]を[新規]追加し、本を移動できる。いわゆる本棚機能だ

[購入済みのブック]は、iCloudに保存されている書籍も表示される

iPhoneで読む

 ここからはまず、iPhoneでの閲覧についてチェックしていきます。縦書き書籍の場合、ページめくりは左側をタップか右から左へスワイプ、戻る場合は右側をタップか左から右へスワイプ、中央をタップでメニュー表示です。メニューの右上タップでブックマークが付きます。



初期設定状態の文章表示

中央タップでメニュー表示

メニューの右上タップでしおり
氷菓 (C)米澤穂信/角川書店

 また、書籍内検索、書籍内検索後のGoogle検索、Wikipedia検索に対応しています。



 文字の大きさは、15段階で変更できます。



表示メニュー

文字サイズ最小

文字サイズ最大

 フォントは5種類から選択ができます。フォント変更メニューに雲のマークがあるものは、一度端末へダウンロードする必要があります。



初期設定はヒラギノ明朝

游ゴシック体

游明朝体


ヒラギノ角ゴ

ヒラギノ明朝

ヒラギノ丸ゴ W4

 タップアンドホールド(長押し)で、範囲選択からのマーカー、メモ、辞書、検索機能が利用できます。範囲選択からSNSなどへ共有する機能は、対応している書籍と対応していない書籍があるようです。



タップアンドホールドで、拡大図が表示される

そのままスライドした範囲にマーカーが引かれる

マーカーした部分をタップするとメニューが出る

 マーカーをタップして表示されるメニューは左から、マーカーの色変更、マーカーの解除、メモ、辞書または検索機能です。共有ができる書籍の場合は、メモの右に共有アイコンが追加されます。



マーカーの色変更。右端は赤線

マーカーは1つづつ色を変えられる

マーカーからのメモ機能


メモのある位置には、このように付箋がつく

マーカーメニュー右端の>タップで選択範囲の変更と辞書・検索機能

範囲選択からの書籍内検索


辞書を初めて利用する時はダウンロードする必要がある

辞書のダウンロード中

辞書機能


目次機能

ブックマーク一覧

メモとマーカーの一覧

 目次の右上からは、SNSなどへの共有機能が利用できます。



共有機能

Twitterへの共有

Facebookへの共有

 [テーマ]メニューからは、背景色と文字色が変更ができます。



[テーマ]は3種類から選択できる

[セピア]配色

[夜間]配色

 [スクロール]モードでは、筆者がKinoppyで試す:「エロエロ草紙」など配信――文化庁 eBooks プロジェクトの可能性で指摘していたスクロール方向が、今回のアップデートで修正されていました。これまで縦書き書籍であっても縦スクロールしてしまっていたのが、バージョン3.1からは横スクロールするように変わったのです。これにより、[スクロール]モードでは”ページをめくる”という概念がなくなるので、「絵巻物」を実現できるということになります。このモードで、文化庁 eBooks プロジェクトの「平治物語〔絵巻〕」を読んでみたかったです。



[スクロール]モード

”ページ”の概念が消える

左から右へスワイプでスクロールする

 また、KinoppyやReaderやKindleと同様に、外部ファイルの取り込み機能にも対応しています。DRMフリーのEPUBやPDFの、汎用的なビューワとして利用できます。同じファイルを別々の端末へコピーすれば、購入した電子書籍と同じようにブックマーク・マーカー・最後に読んだ位置などの同期機能が使えます。また、選択範囲を引用して、SNSへ投稿できます。



Dropboxから[iBooksで開く]

DRMフリーのEPUBやPDFが読み込める

右から2番めが[共有]アイコン

 他のビューワとくらべて、目立って劣るような部分はありません。ページめくりも素早く、快適です。

iPadで読む

 続いて、iPadのビューワをチェックしていきます。メニューの位置が若干異なるのと、[フルスクリーン]モードが追加されている以外は、機能的にiPhoneとほとんど同じです。同期の設定がオンになっていれば、iPhoneで読んでいた位置やマーカーは自動的に同期されます。



iPhoneで読んでいた位置やマーカーが自動的に同期される

メニューの表示がiPhoneとは若干違う

iBooksの設定

 [フルスクリーン]モードでは、周囲の枠や厚みといった紙の本のメタファが消え、平坦な表示になります。



iPhoneにはない[フルスクリーン]モード

周囲の枠や紙の厚みといった表現が消える

[スクロール]モードでは、ページの概念も消える

 iPadの場合、横向きにすると非常に紙の本と近しい状態になります。



横向きの[ブック]モードは紙の本のメタファが分かりやすい

横向きの[スクロール]モードはまさに巻き物状態

 iOS端末のユーザーにとっては、必要十分な機能を兼ね備えた「いつでもどこでも」という読書環境を提供できているサービスだと言えるでしょう。ただしこの項の冒頭で触れたとおり、AndroidやWindows PCはもちろんのこと、Macintoshでさえ読むことができないというのは、ユーザーの選択肢を狭めてしまっています。また、iCloudで同期することが前提のサービスになっているため、初代iPadとは既に連携ができなくなってしまっているというのも残念な点です。

評点:☆3.5

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