トップレベルドメイン名をめぐる争い――Amazonの動きに業界が懸念
.book、.author、.readといった幾つかの新トップレベルドメイン名の取得に動くAmazonだが、業界は反発を強めている。
AmazonはICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)に「.book」「.author」「.read」といった幾つかの新トップレベルドメイン名(gTLD)を申請している。これらの新ドメイン名は4月に導入予定で、標準的な.com、.netに取って代わるものだ。本に関連した新ドメイン名を支配しようとするAmazonの計画は米作家団体のThe Authors Guildや米国の出版社団体The Association of American Publishersの怒りを買っている。
ICANNあての書簡の中で、小説家でありThe Authors Guildのスコット・トゥロー氏は「.book、.author、.readといった一般的な書籍業界の用語に対して排他的にトップレベルドメインの権利を販売するICANNの計画に強く抗議します。そのような一般的なドメインを私企業に委ねるのは単に反競争的で、すでに有力で資本が厚い企業のマーケットパワーを拡大し、足場固めを助長します。乱用の可能性には限界がないように思われます」と述べた。
「Amazonは書籍販売および出版業界で競争を抑えこむためにこれらのトップレベルドメイン名を利用するのではないか」といって、Barnes & Nobleもここ数日間で独自の抗議を行っている。
電子出版業界はここ数年で比類なき成長を遂げており、Penguinなどの大手出版社は全世界の書籍売り上げのうち、22%を電子書籍から上げている。Amazonは電子書籍市場の少なくとも60%を支配していると考えられており、普及しているブランド拡張を支配するのはうまいやり方かもしれない。同社は昨年さまざまなトップレベルドメイン名を申請するのに1000万ドル以上を費やしたと考えられている。
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