欧州委員会、Amazonに高率の付加価値税を支払うよう命じる
ルクセンブルクに拠点を置くことで欧州での電子書籍販売に掛かる付加価値税を抑え、競争優位性を出す方法に対し、欧州委員会が動き出した。
Amazonをはじめ、多くの電子書籍販売企業はルクセンブルクに業務拠点を置くことでEU圏での電子書籍販売で多大な利益を享受している。同国に拠点を置く主要なメリットは、欧州での電子書籍販売に掛かる付加価値税を3%に抑えられることだ。欧州委員会はルクセンブルクに税制の抜け穴を修正するよう命じ、電子書籍販売に対する付加価値税率は将来的に20%へと上昇する見込みだ。
欧州委員会はルクセンブルクに電子コンテンツ提供者への付加価値税を3%から15%へ引き上げるのに30日の猶予を与えた。同国がこれに従わなかった場合、欧州裁判所に罰金や徴税を課せられる可能性がある。
英国拠点の出版社は顧客がより高率の付加価値税を支払うよう強制されており、それが今回の事態を招いた主な原因となっている。Amazonは節税の恩恵により、電子書籍価格を引き下げている。最近発表されたリポートによると、Amazonは英国で販売されている電子書籍の90%以上を独占している。致命的な事態を招いたのは、Amazonが取引している英国の全出版社と20%の付加価値税徴収をめぐって争おうとしていたことで、それにより同社は利益幅を拡大できるはずだった。
ルクセンブルク拠点のAmazonとBarnes & NobleはEUの命令をめぐって争う見込みだ。両企業はEU付加価値税法が本来、ペーパーバックと新聞に低率の付加価値税を許容していることを引き合いに出すだろう。理想的には電子コンテンツはそれに合わせて低率での課税が行われるべきだ。
関連記事
- フランスとルクセンブルク、電子書籍の付加価値税をめぐり窮地に
日本でも海外からの電子配信に消費税を課税しようとする動きが起こっているが、欧州では付加価値税を低く設定しているフランスとルクセンブルクに対して欧州委員会が侵害訴訟手続きに入ろうとしている。 - 欧州委員会「電子書籍は書籍ではない」と結論、フランス・ルクセンブルクに制裁検討
欧州委員会は、電子書籍への付加価値税論争について、「電子書籍は書籍に該当しない」と結論付けた。付加価値税を低く設定しているフランス・ルクセンブルクに対して制裁処置を検討しているようだ。 - Kobo、日本で電子書籍を販売へ
楽天が買収し、7月にも本格的な日本進出が予定されているカナダのKobo。消費税が掛からない海外拠点からの電子書籍配信によって、価格面でも差別化を図る。 - 欧州各国間で電子書籍の付加価値税率に大きな差:電子書店はルクセンブルクで開店するのが賢い?
欧州の出版業界では電子書籍に対する付加価値税(日本でいう消費税)についての議論がヒートアップしている。20%前後の付加価値税を3%に下げるルクセンブルクに注目が集まっている。
関連リンク
Copyright© 2015 Good E-Reader. All rights reserved.
(翻訳責任について)
この記事はGood E-Readerとの合意の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。