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欧州委員会「電子書籍は書籍ではない」と結論、フランス・ルクセンブルクに制裁検討
欧州委員会は、電子書籍への付加価値税論争について、「電子書籍は書籍に該当しない」と結論付けた。付加価値税を低く設定しているフランス・ルクセンブルクに対して制裁処置を検討しているようだ。
米paidContent.orgの記事によると、欧州委員会(European Commission:EC)は今週、昨年から欧州圏で問題となっている電子書籍への付加価値税(VAT、日本でいう消費税)論争について、「電子書籍は書籍に該当しない」と結論付けた。
EU加盟国では原則として、紙書籍の付加価値税は平均5.5%前後と低いが、電子書籍は欧州委員会(EC)の取り決めにより「文化財」とみなされないため、付加価値税は20%前後と高い。しかし、フランス、ルクセンブルクの2国はこれを不服として、今年1月からそれぞれ7%、3%に下げていた。
なお、Apple、Amazon.com、Sonyなど電子書籍大手グループは欧州向け電子書籍販売サイトの登記をルクセンブルクに置いている。欧州委員会は来年にも制度そのもの見直しを検討するが、それまでの間は、2国に対し何らかの制裁処置を発動する模様。
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