フランスとルクセンブルク、電子書籍の付加価値税をめぐり窮地に
日本でも海外からの電子配信に消費税を課税しようとする動きが起こっているが、欧州では付加価値税を低く設定しているフランスとルクセンブルクに対して欧州委員会が侵害訴訟手続きに入ろうとしている。
欧州委員会はフランスとルクセンブルクが故意に電子書籍の付加価値税を低率に設定していることに対して公式に侵害訴訟手続きに入った。同委員会は両国が競争行為を大きく歪曲させているという疑惑への対応に1カ月の猶予を設けた。この動きは、付加価値税率を下げて電子書籍を販売する企業が有利であり、現在の両国のやり方は反競争的だとする著者や中小出版社から派生してきたものだ。
Amazonは欧州本社をルクセンブルクに置いており、電子書籍を欧州全体に販売する際に同国の低付加価値税率を利用している。このため英国の消費者は電子書籍に対して通常の20%ではなく、たった3%の付加価値税を支払えばよい。一方、フランスには多くの大手出版社が本社を構えており、欧州電子書籍市場での競争力維持を目的として付加価値税率を7%と低く設定している。
フランスとルクセンブルクは2012年1月1日に付加価値税率を引き下げた。欧州委員会がまさに欧州全体で成し遂げたいと願っていることを両国がやってのけたのは非常に面白い。レポートによると「2013年に欧州委員会は現在の状況が異常との一般認識に沿って、紙書籍と電子書籍に適用する付加価値税率の均一化を目的として議案提出を予定している。現在の法律で、電子書籍は電子的に提供されるサービスと認識されており、その議案には含まれておらず、よって低税率での課税対象からは外れている。さらなる変更が2015年に予定されており、そのころには電子書籍の付加価値税は、電子書籍を販売する企業がどこを拠点としているかではなく、購入者がどこに居住しているかに基いて決定される」という。
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