英国では、1662年から続いている納本制度により、これまで印刷された出版物の献本が義務付けられていたが、4月6日以降電子書籍などデジタルコンテンツも献本するよう改訂された法定納本制度が施行される。
2000年1月からデジタルコンテンツの自主的な献本が推奨されていたが、2002年10月の報告によれば、単行の電子出版物では75%、逐次刊行のものでは45〜50%の収集にとどまったため、デジタルコンテンツも納本制度に組み入れることに踏み切った。これにはUKドメインの480万のWebサイト・ブログや電子ジャーナル、CD-ROMも対象になる。
納本制度は、国内の出版物を網羅的に収集し、利用できるようにするとともに、後世の人々のために保存するという目的がある。
電子書籍などデジタルコンテンツは容易にコピーが可能なため、出版者から販売が減少するなどの悪影響を懸念する声も上がってきている。このため同制度では、納本図書館1館または納本図書館ネットワークを通じて1度にアクセスできる人数を1名に制限すること、納入後一定期間(7日)は閲覧できないようにすることなどを盛り込んでいる。
英国の納本図書館は大英図書館、スコットランド国立図書館、ウェールズ国立図書館、トリニティ・カレッジ図書館、オクスフォード大学ボドリアン図書館、ケンブリッジ大学図書館の6つとなっている。
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