Microsoft、Barnes & Nobleの電子書籍ビジネスを約1000億円で買収オファー?
MicosoftがBarnes & Nobleの電子書籍ビジネスを10億ドルで買収することを検討しているという報道。NOOKのハードウェアビジネスは大きな転換期を迎えそうだ。
今から1年前の2012年5月、米国最大の書店チェーンBarnes & Nobleは、電子書籍関連の事業と大学教科書事業を新子会社化し、「NOOK Media」を立ち上げた。このときMicrosoftは3億ドル(持ち株比率でいえば約17.6%)を出資した。しかし、Microsoftはさらに踏み込んだアクションを取ろうとしているようだ。
米Techcrunchが先日報道した内容によると、MicrosoftはNOOK Mediaを含めたBarnes & Nobleの電子書籍ビジネスを10億ドル(約1000億円)で買収を検討していることを内部文書とされるものとともに紹介している。同文書には、2014年末までにハードウェアビジネスから撤退し、アプリを軸とする方向で他社製デバイス含め広く配信していく計画が示唆されているという。
NOOK Mediaで現在展開しているハードウェアは、電子書籍リーダー端末の「NOOK Simple Touch」(2011年5月発売)、その後継として2012年5月にリリースしたフロントライト付きの「NOOK Simple Touch with GlowLight」、そして2012年9月、矢継ぎ早に発表したAndroidタブレットの「Nook HD」「Nook HD+」がある。
Microsoftによる買収報道の少し前から、NOOKの販売価格は大きく変動している。例えばBarnes & NobleでのNOOK Simple Touchの価格は現在79ドルだが、Walmartのサイトだと59ドルで販売されており、20ドル以下で販売していた小売業者もある。また、英国Barnes & Nobleサイトではユーザー数を増やす施策として特別価格で販売されており、Nook Simple Touchは29英ポンド(約4500円、本稿執筆時点では品切れ)、NOOK Simple Touch with GlowLightは69英ポンド(約1万800円)だ。NOOK Simple Touchは2年前のモデルなので、在庫限りのセールという見方もできるが、最新モデルであるNook HDやHD+も50〜90ドル値下げされている。
これまでのリリースサイクルに習うなら、NOOK Simple Touch with GlowLightの後継機が発表されていても不思議でないが、現在までに新製品は発表されていないのもこうした報道に真実味を与えている。後継機には高解像度の電子ペーパーを搭載するのではないかといったうわさもあったが、Koboが4月に6.8インチで1440×1080ドットの画面解像度を持つ「kobo aura HD」を発表しこれに先んじた。業界観測筋では、Barnes & Nobleがこの電子ペーパーの調達を見送ったため、Koboがこれを搭載した製品を先んじて出せたのだという声もある。
またこれに先だって、2013年2月には、Barnes & Nobleの会長を務めるレナード・リッジオ氏が、紙書籍部門の個人取得を会社側に提示したことも話題になっている。
果たしてBarnes & Nobleから新たなハードウェア製品は登場するのか。それとも、Microsoftの買収オファーを受け、ハードウェアビジネスから撤退していくのだろうか。続報が入り次第取り上げていきたい。
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