Barnes & Noble、タブレットと電子書籍リーダーの製造を継続
ハードウェアビジネスから撤退し、事業の見直しを進めようとしていた米書店大手のBarnes & Nobleがその戦略を撤回、今後もハードウェアビジネスを展開する。
数カ月前、Barnes & Nobleはハードウェアビジネスから撤退し、同社を2つの事業領域に分割すると発表して業界に衝撃を与えた。しかし先日、同社はこれを撤回し、「コンテンツビジネスに留まりたければ、デバイスビジネスを続ける必要がある」と発表した。
これに伴い、Barnes & Nobleは投資家向け電話会議を開催。NOOK Mediaのマイケル・ヒューズビーCEOの下では初の開催となる。Barnes & Nobleによるとハードウェアと電子コンテンツを含むNOOKの電子書籍事業の売り上げはわずか1億5300万ドルで、これは前年同期比で20%以上のマイナスとなった。ハードウェアの売り上げは23%のマイナス、コンテンツの売り上げは約16%のマイナスとなった。
ヒューズビーCEOによると「これまで、約1000万台のNOOKデバイスを販売しており、コンテンツのアクティベーションレベルはその実績をより反映する必要があります。よって、既存の顧客ベースに利便性が高いプログラムを導入しているところで、新たな売り上げを生み出す潜在力を持ったほかの消費者市場を積極的に探し求めています」という。
NOOKビジネスでBarnes & Nobleが損失を出している理由の1つは、同社が抱える大量在庫だ。「発売した製品に対する需要を過剰に見積もっていました。結果として、これらの製品を割り引きしなければならなくなり、現在も販売を行っています。同じ間違いを繰り返したくはありません。やがて、より大きなボリュームの低価格ビジネスへと移行するでしょう」。
ヒューズビー氏は続けて「われわれの業務戦略で優先度が1番高いのはすべてのカテゴリーでコンテンツの売り上げを増大させることです。既存顧客にコンテンツを販売する革新的方法に取り組んでおり、成功裏に展開可能な新市場を探しています。Barnes & Nobleは最先端のNOOKデバイスをデザイン・開発し続けるつもりです。Nook Simple Touch、Nook Simple Touch with Glow Light、Nook HD、Nook HD+を含むNOOKの製品ラインを市場最安値で提供し続けます。また、今年のホリデーシーズンには新たなNOOKデバイスを少なくとも1モデルリリース予定で、さらに製品を開発中です。すべてのNOOKデバイスはBarnes & Nobleストアの販売前・後サポートだけでなく、電子書籍ストアサービスに対して継続的に行われているソフトウェア更新・改善によっても支えられています」という。
Barnes & Nobleの投資家はこの発表に衝撃を受け、失われ続ける企業の資金にほとんど信頼を置いていない。人々は同社がNOOK Mediaに対する完全な事業ビジョンを欠いていることに懸念を抱いているのかもしれず、新製品については話半分に受け取っている。
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