凸版印刷は9月10日、ざらつき感や光沢感などの質感を記録・再現する質感表示技術を開発したと発表。
モノの質感を知るための陰影や光沢は、照明や観察する方向によって変化する。しかし従来の撮影データや印刷物では、特定の方向からの照明を当てた被写体を特定の方向から写したものを再現するため、被写体の質感を網羅的に表現できなかった。
今回開発された技術では、被写体に対し、さまざまなな方向から照明を当てた複数の写真を撮影し、得られた入射光と反射光の方向・強度関係を解析、対象物の質感特性をデータ化することで、色・微細な凹凸・光沢特性といった質感情報を再現可能にした。
再現するにはマウス操作で照明位置をリアルタイムに変更可能なビューワソフトを使う。
同技術は東京国立近代美術館工芸館で開催される「クローズアップ工芸」(2013年9月14日から12月8日)の展示品、富本憲吉作「色絵金銀彩羊歯文八角櫛箱」で活用される。
同社では、将来的に画像や動画に質感を付加して、電子書籍や電子カタログの表現の幅を広げていくとしている。
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