KADOKAWAは11月1日、自社グループの作品の電子版(EPUB形式)を制作する際の制作仕様をまとめた「KADOKAWA-EPUB 制作仕様」を公開した。
この制作仕様は、新生KADOKAWAで共有すべき制作指針としてまとめられたもの。電子出版の領域では現在、日本電子書籍出版協会がまとめた「電書協EPUB 3 制作ガイド」が存在する。一方、電子書店によってEPUBのレンダリングエンジンには差異があり、その表示において完全なワンソースマルチユースは実現できていないという実情もある。
KADOKAWA-EPUB 制作仕様は、BOOK☆WALKERなどWebKitをベースとしたEPUBエンジンを採用している電子書店での版面再現性を重視した仕様。電書協の制作ガイドをベースに、リフロー/固定レイアウトのいずれにも対応できるようハイブリッド型OPF(とそれぞれのCSSを内包)を策定しているほか、ストア独自の設定項目――例えばBOOK☆WALKERなら「めがイラスト」――などEPUB 3拡張仕様もOPFに独自指定を追加することで対応している。
このほか、リフロー型で画像ページ(1つのXHTMLに1つの画像が配置されたもの)が高解像度端末で小さな表示にならないよう、部分的な固定レイアウトとSVGラッピングを組み合わせた指定も用いており、現場のニーズにスピード感をもって対応しようとする姿勢も垣間見える。また、レーベルごとの個別仕様などにも対応できるよう、グローバルとローカル分離仕様になっているのも特徴と言える。
関連記事
- BOOK☆WALKERが採用第一号:ACCESS、Readium SDK採用EPUBビューワの最新版をリリース
Readium SDKをベースとしたEPUBビューワがACCESSから商用化。BOOK☆WALKERがまず採用を決め、年内に提供予定。 - 電書協、「EPUB 3 制作ガイド」を公開
電書協は、シンプルな体裁の書籍をリフロー型のEPUB電子書籍として記述するための指針まとめた「電書協EPUB 3制作ガイド ver.1.0」を公開した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.