4世代10人以上が暮らす、田舎の大家族ストーリー『よっけ家族』第1巻:自然も畑も大家族もすべてが初めての毎日
都会から引っ越し、大自然と大家族の中で暮らすこととなった主人公。“知らない土地”が“心地よい土地”へと変わっていく時間を描いた物語『よっけ家族』を紹介します。
皆さんは、“よっけ”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ご飯よっけ用意しといたしな!
ビールもよっけあるぞー
などのシチュエーションに使用されるこの言葉。そう。“よっけ”とは三重県の方言で“たくさん”を意味する言葉です。
今回は、そんな“よっけ”がタイトルにもなっている、宇仁田ゆみさん作、『よっけ家族』(竹書房/バンブーコミックス)をご紹介します。
東京から 奥さんのふるさと 三重県に越してきて2カ月になります
ここでは おばあさん 義父・義母 義兄家族五人
僕たち夫婦の10人ぐらしです
急な転勤で、妻のカズホのふるさとである、三重県の実家に一緒に住むことになった駿太郎(しゅんたろう)。そんな彼を迎えてくれたのは田舎の大自然と、大家族でした。
いつもしゃきしゃき元気に家を切り盛りするお義母さん。休日はマイペースなお義父さん。休日は趣味の畑作業に精を出しながら、妻と一緒に子育てに奮闘する義兄、幸一(こういち)。小柄ながら、3人の子どもを育てる肝っ玉母さん、現在4人目を妊娠中の義姉、咲(さき)。弟とはよくケンカするけれど、実は面倒見のいいお兄ちゃん、義兄夫婦・長男の幸人(ゆきと)くん。やんちゃ盛りでちょっとアホな次男、弟の健人(けんと)くん。トマトとおさんぽが好きな、2歳の長女、3番目のももかちゃん。
年配の方の言葉には最初ちょっととまどったけど、おばあちゃんの言葉も少しは分かるようになりました。
幸一の畑を手伝うようになり、はじめて知った野菜や果物の知識。大家族特有の、食卓に並べられた大量のおかず。散歩しながら感じる山の季節の変わり目。
そして赤ちゃんが生まれ、いよいよスタートする11人暮らし。駿太郎はここで、いままで暮らしてきた東京とはまったく異なる暮らしに出会います。
この『よっけ家族』を読んでいると、共感できるポイントがとにかく多い! わたし自身、大家族ではありませんが、田舎生まれ、田舎育ちの人間なので、ところどころで「あー、あるある。これ分かるわー」と口にしてしまいます。
田舎ではよくとれる農作物のシーズン半ば以降のだぶつき感がもの凄い。これは本当によくあります。最初のうちは買わずにすむわー、わーい! という気分なのですが、日が経つにつれ、その状況は変化していくのです。もうこれでもかーというくらい食べたのに減らない。減らないどころか次の日には増えている。種も仕掛けも分かりきっているけれど、毎年やってくる田舎マジックです。
こんな風に田舎ではごく当たり前のことが、都会から来た人にとっては新鮮に見えるというのが、駿太郎の反応を通してよく分かります。けれど、逆もしかり。きっと、この大家族の面々が東京にやってきたら、この時の駿太郎と同じような反応をするのでしょう。
田舎で大家族となって、日々生活していく駿太郎。やがて、彼にとってはじめてだらけだった土地が、だんだんと住み心地の良い地元へと変化していく様子は、見ていてほっこりします。
そんなあったか、ほっこりエピソードがよっけある、この『よっけ家族』。皆さんもぜひ、お手にとって田舎の大家族ライフを疑似体験してみては?
(評:ラノコミどっとこむ編集部/やまだ)
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