E Inkのカラー電子ペーパーが最初に世をにぎわせたのは今から4年前の2010年のこと。幾つかのベンダーがそれに飛びついたが、すぐにそれがまだ非常に高価な斬新さであると気づかされることになった。
あれから数年。E Inkは直近の4四半期で減収を経験してきたが、その経験が彼らの製品ポートフォリオの多様化とデジタルサイネージ領域への注力度合いを増す後押しとなった。今回、E Inkがカラー電子ペーパー技術「Triton」を採用した32インチのデジタルスクリーンを発表したのはそうした背景からだ。
世界最大規模のディスプレイ国際学会「SID DISPLAY WEEK 2014」でも展示されているこの新製品は、2つの描画モードを備えている。1つは、電子書籍端末などではおなじみのグレイスケール表示ながら、2560X1440ピクセルの画面解像度を持つモード。もう1つは、フルカラー720Pでの表示だ。
この技術はE Inkと伊Global Display Solutionsが共同で開発。電子ペーパーの特徴である低消費電力性、そして液晶と比べほとんどグレアのない性質を生かし、屋外、特に自然光にあふれた公共空間での展開を想定している。
E Inkはこれを、ニューヨークにある国際連合本部ビルに設置されている電子ペーパーサイネージ(eWall)にも展開できればと考えている。2013年に設置されたeWallは、7.4インチの電子ペーパーディスプレイ231枚を並べた巨大な電子ペーパーサイネージ。32インチでカラー表示の可能な新型スクリーンはスクリーンの数を減らすだけでなく、そのポテンシャルが旧来のものを下回ることはないだろう。
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