海賊版は許さない――日本のアニメ・マンガを守るMAG PROJECTが始動
8月1日からアニメ・マンガの海賊版削除を実行するほか、正規版リンク集サイト「Manga-Anime-here」の公開、啓発動画の配信も実施している。
マンガ・アニメ海賊版対策協議会は7月30日、日本のアニメやマンガを守るための取り組み「MAG(Manga-Anime Guardians)PROJECT」を開始した。同協議会は、国内外のアニメ・マンガ産業における海賊版対策を目的に、2013年7月、経済産業省の呼びかけに賛同した企業15社が集まり結成された組織。事務局を務めているのはコンテンツ海外流通促進機構(CODA)。
同プロジェクトは、主に「海賊版の削除」「正規版サイトへの誘導」「普及啓発」の3つを軸に展開する。
海賊版の削除に関しては、8月1日からマンガ約500作品、アニメ約80作品について約5カ月にわたる海賊版削除を実施。対象作品は、ネット上での侵害が確認でき、正規流通が行われているまたは行われる予定のもの。削除対象サイトは、マンガがオンラインリーディングサイト、ストレージサイト、トレントサイト、アニメがUGCサイト(動画共有・投稿サイト)ストレージサイト、リーチサイト、トレントサイトとなっている。
正規版サイトへの誘導は、7月30日に開設された正規版リンク集サイト「Manga-Anime-here」で行われる。正規版コンテンツの紹介や、ニュース記事などを掲載し、正規のアニメやマンガを楽しめるサイトとなっている。
普及啓発に関しては「Thanks, friends」と題した動画をManga-Anime-hereやYoutubeで配信。『ONE PIECE』のエースや、『タッチ』の浅倉南、『けいおん!』の平沢唯など、「出版社やアニメ制作会社の枠を越えた全42作品のキャラクターが登場し、マンガ・アニメを愛するファンに向けて感謝のメッセージを送る内容となっている。楽曲は影山ヒロノブさん率いる「JAM Project」や石田燿子さん、佐咲紗花さん、米倉千尋さんが歌うオリジナル曲となっている。
経済産業省の2014年の調査によると、アメリカのアニメ・マンガファンの50%以上、そして日本のアニメ・マンガファンの12%以上が海賊版を利用しており、アメリカにおけるオンライン海賊版の被害額は2兆円に上ると推計されている。さらに文化庁が2013年に実施した調査によると、中国の主要都市(北京・上海・広州・重慶)におけるコンテンツ被害額は5600億円にもおよぶと推計されている。
一方、同調査では海賊版を利用しなくなる理由として「海賊版が見られなくなること」「正規配信が増えること」が上位に挙がっている。このことからMAG PROJECTでは、上記の3つの軸を中心に展開し、海賊版を市場から消滅させ、コンテンツ対価を支払う仕組みが主流化することを目指すとしている。
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