第35回日本SF大賞に早川書房の2作品、功績賞は『幻魔大戦』シリーズの平井和正
大賞2作品は、藤井太洋の『オービタル・クラウド』、長谷敏司の『My Humanity』。功績賞は1月17日に亡くなった平井和正に贈られた。
日本SF作家クラブは2月21日、「第35回日本SF大賞」の受賞作を発表した。大賞には、藤井太洋さんの『オービタル・クラウド』(早川書房)、長谷敏司さんの『My Humanity』(早川書房)が同時受賞した。
同賞は、2013年9月1日から2014年8月31日までに発表されたSF作品から、ジャンルやメディアを問わず優れた作品に贈られるもの。1980年に日本SF作家クラブにより創設され、徳間書店が後援していたが、第34回からは日本SF作家クラブの独立運営となっている。
受賞した『オービタル・クラウド』は2020年、流れ星の発生を予測するWebサービス「メテオ・ニュース」を運営するフリーランスのWeb制作者・木村和海が、衛星軌道上の宇宙ゴミ(デブリ)の不審な動きを発見したしたことから始まるペース・テロとの闘いと、近未来のテクノロジーをリアルに描いた巨編。
『My Humanity』は、2009年に刊行された『あなたのための物語』と同設定の「地には豊穣」「allo,toi,toi」や、『BEATLESS』のスピンオフ「Hollow Vision」、書き下ろし「父たちの時間」の全4篇を収録した長谷さんにとって初の作品集となっている。
このほか、功績賞には1月17日に亡くなった作家・平井和正さんが選ばれた。平井さんは、1961年に『殺人地帯』がSFマガジン第1回コンテスト奨励賞を受賞してデビュー。『ウルフガイ』『幻魔大戦』シリーズなどで人気を集めた。
藤井さん、長谷さんには賞金として50万円が贈られる。贈賞式は4月24日、東京都千代田区のホテルメトロポリタンエドモントにて。
関連記事
- SF作家・平井和正さん死去 「幻魔大戦」「8マン」など
クラブサンデーでは新作「幻魔大戦 Rebirth」も連載中でした。 - 豪華限定版『BEATLESS“Tool for the Outsourcers”』付属のコンピCD試聴動画が公開
長谷敏司氏の長編小説『BEATLESS』の世界観を完全収録した限定セット『BEATLESS“Tool for the Outsourcers”』。その付属コンピレーションCD「BEATLESS - Give Me the Beat -」の試聴動画が公開となった。 - 電子から紙への大跳躍(グレートリープ)――『オービタル・クラウド』藤井太洋さんに聞く
『Gene Mapper』でKindleストア「ベスト・オブ・2012」小説・文芸部門1位を獲得し、「第7回 JEPA電子出版アワード」で選考委員特別賞を受賞した藤井太洋氏が次に送り出したのは『オービタル・クラウド』。制作秘話や電子出版の意義について話を伺った。 - 『BEATLESS』スピンアウトコミック、ファミ通コミッククリアで連載へ
月刊ニュータイプで連載中のSF小説『BEATLESS』の原作者・長谷敏司氏が監修する新作コミック『天動のシンギュラリティ』がWeb漫画としてプレスタートした。 - 『SFマガジン』が隔月化するとき、cakesでは週刊連載が始まる
連載コラム「大森望の新SF観光局」の出張版や、大注目の新刊プレビューなどを毎週掲載していく。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.