国立国会図書館、日本点字図書館と共同で視覚障害者を対象とした図書製作プロジェクトをスタート
国立国会図書館デジタルコレクションに収録されている資料を用いて「テキストDAISY図書」と呼ばれるテキストデータを制作するとともに、テキスト化システムの活用可能性なども検証する。
国立国会図書館(NDL)は4月1日、日本点字図書館と共同で、印刷物を読むことが困難な人のための国際規格「DAISY(Digital Accessible Information SYstem)」に準拠した図書を製作・提供する「アクセシブルな電子書籍製作実験プロジェクト」を開始した。
DAISYとは、もともと視覚障害者のために録音テープの代わりとして開発された電子書籍フォーマットで、音声データで構成された「音声DAISY図書」、合成音声や点字ディスプレイでの閲覧を目的に、テキストデータで構成された「テキストDAISY図書」、音声データとテキストデータを併せ持つ「マルチメディアDAISY図書」の3種類に分けられる。
同プロジェクトは、クラウドソーシングや、オープンコミュニティーを活用することで、テキストDAISY図書をこれまでよりもスピーディに製作・提供することを目的に、日本点字図書館が2013年4月から実施しているもの。
NDLとの共同実験では、「みんなでデイジー」と名付けられたオープンコミュニティーを通じて、国立国会図書館デジタルコレクションにある資料のうち、テキストDAISY図書化してほしいものを募集。リクエストのあった資料の画像データをOCR(光学文字認識)ソフトによって変換し、OCRの誤認識によって発生した文字の間違いを製作支援ボランティアが校正、そうしてできあがったデータを、日本点字図書館のスタッフがテキストDAISY形式として障害者へ配信する。このほか、上述の校正システムを日本点字図書館以外の機関で使用するための検証も行われるという。
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