5月20日〜5月22日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「教育ITソリューションEXPO」(EDIX)。
教育分野における日本最大の専門展とうたった同展には、デジタル教材や教育用のハードウェア学校向けセキュリティサービスなどを提供する企業620社が参加。会場内では、多くのブースでプレゼンテーションも開催され、大きな賑わいを見せた。
その中から、今後、小・中・高、大学、あるいは企業などでも導入されることになるだろう電子黒板について写真を中心にまとめてみた。幾つかのブースでは電子黒板を使っての模擬授業も行われていたので、その様子も併せてお届けする。
各社の電子黒板
青井黒板製作所の電子黒板の特徴は、板書とプロジェクターが一体型となっている点。独自に開発した映写&板書用のホワイトボード「映るんボード」は、光の反射を抑え、映像を鮮明に映し出すことができる。
電子黒板はワイヤースライド方式を採用しており、ワイヤーを引くことで、プロジェクターを任意の位置に移動可能、微調整もしやすい。教室の壁を一面ホワイトボードにできる、超薄型壁面ホワイトボードも展示された。
サカワのブースでは、カヤックと共同開発したアプリ「Kocri(コクリ)」を展示(7月リリース予定)。iPhoneやiPod touchでアプリを起動し、プロジェクターに接続したApple TVと通信することで、手軽に画像や図、罫線などを映すことができる。
幕面の厚みわずか0.47ミリというホワイトボード兼用スクリーンを貼ることで、壁面を電子黒板として活用できるように。
パナソニックはタッチパネル方式の電子黒板「TH-80LFB70J」を展示。主に会議やプレゼンテーションでの活用を考えているようだ。
「Grid Sheet」と呼ばれる白いシートを貼り、プロジェクターを投影することで電子黒板として機能する。
ナリカは、電子黒板「アクティブボード」の壁面設置型と、キャスター付きの2種類を展示。すでに小中学校で導入が始まっているという。
「DBB Frame」と呼ばれるセンサーフレームを薄型テレビにかぶせることで、電子黒板として使えるようになる。教室にテレビがあれば、新たに電子黒板を設置するよりも安価に導入できそうだ。
ホワイトボード・黒板・チョークを専門とする馬印も電子黒板に参入。こちらはまだ開発段階。
マグネットシート式で、丸められるのが特徴。ホワイトボードとしても使用でき、Bluetooth接続すればタブレット側(生徒側)から書き込みも可能。
一見するとテレビのような一体型の電子黒板。Androidを搭載しているほか、PCユニットを内蔵することもできる。
エプソンブースでは、「EB1430WT」「EB536WT」「ELPIU02」のほか、PCレスで動作する「EB-485WT」などのプロジェクターを展示。
模擬授業はどこも満席
教育環境をトータルにサポートする富士ソフトの「みらいスクールステーション」。メディアボックスというSTBを設置することで、教室にPCを持ち込むことなく電子黒板を使った授業が可能となる。
すでに、横浜市立中学の70%(全147校)、鹿児島県立鹿児島聾学校などの特別支援学校、灘中学、高校などの有名進学校でも導入実績がある。
山川出版社や光村図書など出版社12社と日立ソリューションズがデジタル教科書の普及に向け活動するCoNETSのブースでは、教師や教授らによる模擬授業を開催。最前列の人は手元のタブレットを操作して授業に参加していた。
ガイアエデュケーションでは、授業支援ソフト「PenPlus Classroom」と電子黒板を活用した模擬授業を展開。
協働学習をテーマにしたパイオニアVCでは、電子黒板「xSync Board」、学習支援ツール「xSync Standard」を活用した模擬授業を実施。「xSync Prime Collaboration」と呼ばれるシステムを使うと、離れた場所であっても同様の内容を画面に映し出し、一斉に授業を行うことができる。
NECのブースでは、超短焦点プロジェクター「ViewLight」を使い、東京書籍のデジタル教科書を使った模擬授業を実施していた。
文科省が電子黒板活用ガイドを公開
5月19日には、文部科学省がWebサイトにて電子黒板の活用事例をまとめた「電子書籍活用場面集」をPDFで公開した。写真を中心に、「授業内容を振り返る」「興味・関心を高める」「実演でやり方を示す」など8つのカテゴリーから構成されている。
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