村上春樹氏の『走ることについて語るときに僕の語ること』(文藝春秋)が電子化されることが7月30日、文藝春秋から発表された。発売は8月28日、7月31日から主要な電子書店で先行予約が開始される。価格は560円。
同書は2010年に刊行されたもの。1982年に専業作家としての生活を開始したとき路上を走り始め、今日に至るまで世界各地でフルマラソンやトライアスロンレースを走り続けてきた村上氏が、走ることとそのときの自分の気持ちを素直に書きつづったエッセイ集だ。
村上春樹さんの作品は、海外では既に電子書籍化されており、国内でも先日、期間限定サイトをまとめた『村上さんのところ コンプリート版』が電子書籍として発売されたが、既刊エッセイとしてはこれが初の電子書籍化となる。本作は村上春樹氏のエッセイの中でも特に電子書籍化の希望が多かった作品だという。
先日第153回芥川龍之介賞を受賞した『火花』(又吉直樹)が累計発行部数144万部を突破する中、リアル書店での品薄感もあって、電子書籍版も10万ダウンロードに迫る勢いで売れ続けている。『走ることについて語るときに僕の語ること』以外の村上作品がこれを契機に電子化されていくことになるのかはまだ分からないが、大きなインパクトを市場に与えるかもしれない。
これまで世界中のいろんな国を訪れてきたけれど、そこでだいたい必ず「村上さん、あなたの『走ることについて語るときに僕が語ること』を愛読書にしています」という読者に出会うことができた。もちろんみんな熱心なランナーだ。そういう人たちに巡り会うたびに、「走る」というのは本当に世界の共通語なのだなと実感する。世界のどこに行ったって、道路は道路だし、42キロは42キロなのだ。そういう部分で、この本は僕にとって、少し特別な意味を持つ本になっているかもしれない。今回電子書籍化されることで、より多くの読者=ランナーに出会うことができれば嬉しい(電子版発売にあたって村上春樹さんからのコメント)
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