JavaOne開幕,Javaの進化を反映し2万人のデベロッパーが聖地に集まる
| 【海外記事】 | 2001.06.04 |
米国時間の6月4日,カリフォルニア州サンフランシスコでJavaOneカンファレンスが開幕した。6回目となる今年は会期が5日間となり,セッション数も500に上り,テクニカルカンファレンスとしては最大級の規模だ。ダウンタウンのモスコーニセンターに集まった世界各国のJavaデベロッパーは2万人。絶えず進化しているJavaの知識とビジョンを共有する年に1度のマラソンカンファレンスとなった。
桁違いのデベロッパーたちを収容するため,オープニングの基調講演はモスコーニセンター南館の展示フロアをすべてぶち抜き,中央につくられたステージを前後から挟むように1万7000人分の席を用意した。千葉・幕張メッセでいうと,4ホール分くらいのスペースに匹敵する。
2万人のデベロッパーたちは,同じJavaという言語を使っているわけだが,各国ではそれぞれ違った形で採用が進んでいる。基調講演では,今年もホスト役を務めるジョン・ゲイジ氏(チーフリサーチャー)が,中国や南米出身の技術者とともに,組み込みJavaの分野を担当するテツヤ・モリ氏をステージに招き上げた。モリ氏は上着のボタンを外して左右に広げ,その内側にぶら下げておいた幾つもの携帯電話を見せびらかした。日本では,Javaがモーバイル分野で爆発的に普及していることをユーモアに表現する。
JavaCardでは懸賞付きコンテントも
サンでは,セットトップボックスや携帯電話向けのJava 2 Micro Edition(J2ME)よりもさらに軽量なJavaCardも提供している。この超軽量Javaは,強固なセキュリティと多機能さをスマートカードにもたらし,実に90%のシェアを握るという。
この日も,ビザUSAが「スマートVISAチャレンジ」と呼ばれる懸賞金付きコンテストの開催を発表した。JavaCard技術を利用した革新的なアプリケーションやサービスをデベロッパーたちから募り,優れたアイデアには最高7万5000ドルが贈られるというもの。同社ではこのコンテストから生まれる幾つかのソリューションを2002年春に市場に投入したいとしている。
こうなると,かつてはハードウェアの責任者として,すぐに利益を生まないJavaには否定的な考えを持つとされたエド・ザンダーCOOだが,もはや「マイクロプロセッサやイーサネットに匹敵する地殻変動をもたらした」とJavaを持ち上げないわけにはいかない。
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| プレスQ&AセッションでのザンダーCOO |
オープニングの基調講演に登場したザンダー氏は,セットトップボックスや携帯電話,スマートカードといったデバイスの存在は,ネットワークコンピューティングを拡大し,それらを支えるバックエンドの需要も高めてくれると話す。
Sun ONEも売り込む
サンはこの2月,オープンなWebサービスのビジョンやアーキテクチャ,そして製品などの総称として「Sun ONE」(Sun Open Network Environment)を発表した。
IBMやヒューレット・パッカード,オラクル,マイクロソフトらもそれぞれWebサービス構想を発表しているが,概ねどのベンダーの構想もXML,SOAP(Simple Object Access Protocol),UDDI(Universal Description, Discovery and Integration)などを使うことでB2Bのインテグレーションをこれまで以上に簡素化してくれる可能性を秘めている。
一枚岩のアプリケーションではなく,インターネット上で提供されているWebサービスを必要に応じて自社のビジネスプロセスに組み込むことで,ビジネス環境の変化にも柔軟に対応できるといわれている。標準をベースとしているため,いちいち互換性を気にする必要もないという。
ザンダー氏は,このSun ONE構想に多くの時間を割き,ロジックの可搬性を高めるJavaとデータの可搬性を高めるXMLを相互に補完し合う技術として統合していく同社の姿勢を改めて強く打ち出した。
この日の発表でも,ネットワーク化されたエンタープライズアプリケーションを構築するためのJava 2 Enterprise Edition(J2EE)に順次「Web Service Pack」コンポーネントを追加し,今年秋に出荷を予定するJ2EE 1.3に統合することを明らかにしている。
[浅井英二 ,ITmedia]

