Networld + Interop 2001 Tokyo基調講演:「インターネットは地球環境の一部になる」,N+I基調講演で慶応大教授の村井純氏

【国内記事】 2001.06.06

 今年で8回目を迎える「Networld + Interop 2001 Tokyo」ショウの展示会が6月6日,幕張メッセで開幕した。この日の基調講演では,慶応義塾大学教授の村井純氏が「インターネットの挑戦」をテーマに講演を行った。同氏はIPv6の登場により,家電製品や自動車,医療器具などさまざまななものがインターネットで世界とつながった社会を予測し,「インターネットは地球環境」とし,インターネットが空気や水と同じように地球環境の一部になると話した。

N+Iの展示会場。とにかく広い

 村井氏は,「現在主流のIPv4のアドレスはあと数年で枯渇する」と話す。

 現在まで主流となっているIPプロトコル「IPv4」は,例えば「172.17.12.1x」のように32ビットでIPアドレスを管理することで,最大でおよそ43億通りのIPアドレスをユニークに割り当てることができる。

 しかし,インターネットの進展により,ネットワークにつながるPCやデバイスは爆発的に増大しており,IPv4ではIPアドレスが不足するという危惧が高まってきた。そこで登場したのが,128ビットでアドレスを管理する「IPv6」だ。これにより割り振れるIPアドレスの数は,およそ10の38乗という天文学的な数になり,IPアドレス不足で頭を悩ませていたxSP(さまざまなサービスプロバイダー)なども,一安心できるという。

 村井氏は,自らが座長を務める「IPv6普及・高度化推進協議会」などを通じ,IPv6に関するアプリケーションや技術開発などを行っていくとした。

 基調講演では,いくつかのデモが紹介されたが,まずは,会場に設置された「IPv6 Show Case」にいる女性アナウンサーと基調講演会場の村井氏が,会話をしながらIP化製品のデモを行う様子がモニター中継された。

 このデモでは,セットとして作られたリビングルームにおいて,窓ガラスのように壁に掛けられた薄型ディスプレイに,香港の港の映像がリアルタイムで映し出された。

“窓型ディスプレイ”に映し出された香港のリアルタイム映像

 もちろんこれはインターネットを経由してディスプレイに届いた映像だが,居住者は自分の好きな映像を“窓”から取り込む感覚で楽しむことができる。

 村井氏は,「これは本当に,“窓”(マイクロソフトのWindows)から見えているんですよ」と言って,場内の笑いを誘った。

 続いて,脈拍や心拍数などを常に把握する機能を持つ椅子のデモが紹介された。これは,元々はベッドに設置することを目的として開発された技術。身体情報が常に担当の医師などとオンラインでつながっているため,心臓発作などの緊急事態に迅速に対応できるなど,医療への発展的な応用が期待できるという。

 ほかにも,IPアドレスを持つ冷蔵庫や自動車,FAX,温度計など,さまざまインターネットデバイスが示されており,将来的に,人々の生活を大きく変える可能性を感じさせる内容だった。

 村井氏は,「インターネット化の進展で,メディアを通じたコマーシャルのビジネスモデルも変化していくだろう」と話している。

関連リンク

▼N+I Tokyoの公式Webサイト

[怒賀新也 ,ITmedia]