SAP CRMがソフトブレーンのe-セールスマーネジャーと連携,日本向けSFA機能を補完

【国内記事】 2001.06.06

 SAPジャパンは6月6日,mySAP CRMソリューションを強化するために,日本のベンチャー企業であるソフトブレーンと提携すると発表した。両社は,SAPジャパンが先ごろ発表した「SAP CRM」とソフトブレーンの「e-セールスマネージャー」を連携させ,日本向けのSFAソリューションを開発する。7月5,6日に都内で開催されるSAPのカンファレンス「SAPPHIRE 2001,TOKYO」でベータ版を発表し,3カ月以内に出荷する予定という。

SAPジャパンの細谷哲史副社長とソフトブレーンの宋文洲会長

 e-セールスマネージャーは,Javaで構築されたSFA製品。日本で開発された製品らしく,例えば,顧客が死亡したときに,担当営業マンのモーバイルデバイスにメールを送信したり,ヴァル研究所の「駅すぱあと」と連携できるなど,ユニークな機能を搭載している。

 中でもモーバイル対応は進んでおり,あらゆる携帯電話から同ソフトウェアにアクセスすることができる。同社の宋文洲会長は,「アジア人には,タイプライターを打つ習慣がなかったため,キーボード入力を苦手とする人も多い」と話す。キーボード入力を最小限に抑えたユーザーインタフェースをモーバイルにそのまま持ち込んで,高い操作性を持つ製品に仕上げたという。

管理より支援を

 SAPジャパンでSAP CRM 2.0Cの日本化プロジェクトを主導した三村真宗氏によると,欧米仕様のSFAでは,固有の営業文化が根付く日本に最適なソリューションを提供できないと判断したという。

「欧米のSFAは,営業マンを“管理”するための製品。これに対して,e-セールスマネージャーは,“支援”志向のソフトウェアと言える」(三村氏)

 今後両社は,SAP CRMと連携できるe-セールスマネージャーの開発や,SAPがグローバルで展開するモーバイルデバイス対応SFAソフトウェアの日本向けテンプレート開発を共同で行う。また,SAPがNTTドコモと進めているモーバイルソリューションの開発に,ソフトブレーンから2人の人員を迎え入れる。さらにソフトブレーンは,SAPジャパンのサービスパートナーとして,mySAP CRMの導入コンサルティングも手掛ける方向だ。

 現在,既に2社と商談に入っており,年内に10社への導入を見込む。

 SAPでは,ユーザー数に応じたライセンス価格体系を取っており,ソリューションを追加してもユーザー企業に負担をかけない文化があったが,今回の共同ソリューションでは,追加ライセンス料金が発生してしまう。これに対して同社は,システム投資をトータルコストから考えると,共同ソリューションの方がユーザー企業に安価に提供できるとしている。

 また,この日の発表でSAPジャパンは,ソフトブレーンの発行済み株式の1%に当たる150株を市場外から調達したことも発表した。投資金額は5700万円。SAPジャパンとして国内の企業に資本参加するのは,初めてのケースとなる。

関連リンク

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[井津元由比古 ,ITmedia]