PKI利用のバリアを下げるべく日本ベリサインがさまざまな取り組みを発表

【国内記事】 2001.06.06

 日本ベリサインは6月6日,「Networld + Interop 2001 Tokyo」の会場で,PKIをベースとした新たなサービスや製品を発表した。同時に,PKIとXMLを融合させた新たなテクノロジーの普及に向けて積極的に働きかけていく方針も明らかにした。

 今回発表された内容は幅広い。まず,同社が提供しているデジタル証明書の発行・取得サービス「Go Secure!」をLotus Notesに対応させた「Go Secure! for Lotus Notes」をリリース。また,XMLをベースとした電子フォームソリューションを提供するジェットフォーム・ジャパンとの提携。そして,指紋認証装置「Puppy」と連携し,生体認証とPKIを組み合わせた個人認証を目的としたソニーとの提携なども発表されている。特に後者は,とかく一般ユーザーには使いにくいと指摘されがちなPKIのユーザビリティの低さを補うという意味で,注目できる内容だろう。

 同社の川島昭彦社長は,「PKIはインターネットセキュリティの基盤となっていくだろう。PKIによって,第三者による成りすましなどを防ぎ,インターネットでもリアルの世界と同じようなセキュリティを実現できる」と話す。

 ただし同時に,一般のユーザーが使うには,PKIのシステムのハードルがまだ高いことも認めており,「実際に数千万という人に使ってもらうには,ユーザーがそれと意識せず,手軽に使えるようになることが必要」と話している。

 また同社は,電子署名に時刻情報を加えるという手段によって,デジタルデータに改ざんが加えられていないことを証明し,データの完全性を保証する「電子公証サービス」を開始することも明らかにした。データの改ざんを検知する電子署名と,トランザクションの発生を確認する時刻情報を組み合わせることによって,データの保全を保証する。その際に発行される「電子レシート」によって,後々の検証が可能となる仕組みだ。

 これは同社の「ベリサイン・オンサイト」サービスの追加機能として提供される。テキストデータ,マイクロソフトのWordやPowerPointなど,データの種類を問わずに,Webブラウザ経由でデータの完全性を確認することができる,ユニークなサービスといえるだろう。ただし今のところ,検証可能なデータの容量は10Mバイトまでとなっている。

 日本ベリサインではまた,XMLベースにPKIを使うための国際標準の策定にも深く関わっていく方針を表明した。

 これまでPKIの世界では,ユーザビリティの向上とともに,さまざまなアプリケーションのPKI対応が課題とされてきた。ツールキットが提供されているにせよ,開発には手間と時間がかかってしまう。これがPKIの普及を妨げてきた原因の1つであるのは間違いないだろう。

 日本ベリサインによると,ここにXML技術を用いることで,解決の道が開けるという。現在,XMLとPKIを汲み合わせることを目指した4つの標準案が存在しており,それぞれ仕様策定作業が進行中だ。こうした標準が完成し,広く受け入れられるようになれば,アプリケーション開発の際のバリアが低められ,PKI対応のアプリケーションが今後増えていくだろう。同社ではこうした,XMLベースのPKIの枠組みを「第二世代PKI」と称し,積極的に標準作成に関わっていくという。

関連リンク

▼日本ベリサイン

▼N+I Tokyoの公式Webサイト

[高橋 睦美 ,N+I Magazine]