無線LAN市場は今後も急速に拡大,IEEE802.11a製品も年内には登場

【国内記事】 2001.06.06

「Networld + Interop 2001 Tokyo」のキーワードから,「無線LAN」を欠かすことはできないだろう。中でも,手ごろな価格から普及を見せているのが,IEEE802.11b(Wi-Fi)準拠の無線LAN製品だ。

 Wireless Ethernet Compatibility Alliance(WECA)は,この相互接続性をテストし,認定すると共にWi-Fiの普及を図る業界団体。今年は,イベントホール内に「WECA Wi-Fiゾーン」を設置し,多様なWi-Fi準拠の無線LAN製品を紹介している。

 Wi-Fi,あるいはIEEE802.11bは,2.4GHzの無線を利用して11Mbpsの通信速度を実現する無線LANの標準規格だ。2000年3月以降,現在に至るまでのWi-Fi認定製品は,138に達しており,現在も増加中。製品価格もこの1年で大きく下がっており,オフィスのみならず,小規模拠点やSOHO,家庭など多くのエリアで導入が進んでいる。

 N+I Tokyoに合わせて6月6日,WECAが開催した記者発表会では,Wi-Fi認定製品の増加,普及と共に,今後の課題についても触れられた。例えばセキュリティ。無線LANのあまりの便利さに,ついセキュリティにまで気が回らない傾向も見られるようだ。今後,ビジネスユースで無線LANの利用が広まるとすれば,VPN,IPSecを併用することも考えねばならないだろうという。

 また,IEEEでは現在,無線LANにQoS機能や新たなセキュリティ,高度なローミング機能を加えるためのタスクグループがそれぞれ活動中だ。さらに,22Mbps前後のより高速な通信を実現するためのタスクグループでも,鋭意作業が進められているという。

 無線LANの世界でもう1つ気になる動きが,IEEE802.11a準拠の製品である。これはWi-Fiとは異なり,5GHzの無線を用いて最大54Mbpsの通信速度を実現するというものだ。規格自体はWi-Fiと同時期に策定されていたが,技術的な問題から製品化が遅れていた。それがようやく今年に入って現実味を帯びてきており,今年中には市場に製品が登場する見込みである。現にTDK,アセロス・コミュニケーションズ,エンテラシス・ネットワークスやNECなど,複数の企業がIEEE802.11a準拠製品を登場させている。これを受けてWECAでは,IEEE802.11a製品についても準備が整い次第,認定テストを開始する予定だ。

 WECAのグレゴリー・スミス副理事長によると,全世界の無線LAN市場は,1999年に4億ドルだったものが,現在では1兆ドルを超える規模に成長しているという。同氏は,市場が今後3〜4年も同様の速度で成長するとしており,特にアジア地域での成長は急速なものになるだろうと予測している。

関連リンク

▼N+I Tokyoの公式Webサイト

[高橋 睦美 ,N+I Magazine]