日本のVCが連れてきた有望な米国ベンチャー
【国内記事】 | 2001.06.07 |
ワールドビューテクノロジーベンチャーキャピタルは,「Networld + Interop 2001 Tokyo」ショウの会場で,出資する米国のベンチャー企業を紹介している。6月7日,会場で行われたプレス発表では,株式上場間もない企業を除いた企業が技術を披露した。
アリディアン・ネットワークス
アリディアンのアジア太平洋地域副社長,リー・カイ・グッド氏と同社のDWDM製品 |
1998年8月に設立されたアリディアン・ネットワークスは,メトロポリタンエリアネットワークス(MAN)やコアリングに設置し,バックボーンに接続する機器を開発している。既に丸紅や電通と共に,日本のキャリア向けにも営業活動を展開しているという。2001年内をめどに日本法人を設立する計画もある。
同社の製品である「Optical Service Node(OSN)」シリーズには,ローエンドのOSN4100,同4200,コア向けの同4800の3つの機器がラインアップされている。WavePackと呼ばれる技術でDWDMによる波長多重機能を搭載し,1波長に複数のプロトコルやサービスを多重化して伝送できるという。
OSN 4800は,ワイヤスピードで2.5〜40Gbpsのスループットを可能にする16波長多重機能を搭載,40〜80キロメートルの伝送距離を実現する。対応するネットワークは,OC-48c SONET/STM-16c SDHとなっている。
モーバズ・ネットワークス
2000年6月に設立されたばかりのモーバズ・ネットワークスは,高度な光スイッチング技術で「あらゆるネットワークを光ファイバーで構築したい」(同社)という。
従来,ネットワークコアには広帯域な光ファイバー,エッジに近い部分にイーサネットやSONETという住み分けができていたが,イーサネットの構築コストが下がってきたため,MAN程度の規模ならイーサネットを利用するケースが多くなってきた。
光ファイバーは,広帯域になればなるほど構築コストが下がり,イーサネットはその逆となる。このため,イーサネットが安価になればなるほど,ネットワーク構築コストの分岐点がずれ,イーサネットで実現した方が割安になるケースが増えた。需給曲線の交点と考えれば分かりやすい。
これに対してモーバズは,光ネットワークの構築コストを引き下げることで,分岐点を逆の方向に持っていこうとしている。現在のところ,まだ製品を正式にリリースしていないが,同社の技術を使えば,小型プロジェクターほどのサイズのきょう体に,12本の光ファイバーをそれぞれ80波に多重化し,合計960波の波長をクロスコネクトする機能を搭載できるという。
この技術は,同社が独自に開発した光伝送技術をはじめ,3次元構造のMEMS光スイッチ素子,波長ルーティング技術などを組み合わせ,MPλSをベースにダイナミックな波長レベルにおける運用管理を実現するというもの。同社では,米国ジョージア洲アトランタで開催中の「SuperComm 2001」でも注目を集めた光スイッチング技術をベースとして,MPλS,光クロスコネクト,光トランスポートを実現する安価な機器を提供したい考えという。
関連リンク
[井津元由比古 ,ITmedia]