ファルコンストアがSANとNASを格安に構築できるソフトウェア「IPStor」を販売開始

【国内記事】 2001.06.14

 ストレージ管理ソフトウェアのファルコンストア・ジャパンは6月14日,SANとNASを統合管理できるソフトウェア「IPStor」日本語版を7月より出荷すると発表した。同ソフトウェアを利用すると,既存のインフラを統合したり,サードパーティーの機器を利用して格安にSANやNASを構築することができる。

 ファルコンストアは,コンピュータ・アソシエイツ(CA)に買収されたシャイアン・ソフトウェア出身の経験豊富なスタッフが集まって設立されたベンチャー企業。日本法人は3月に設立されていた。先ごろ,株式上場(IPO)企業を逆買収することを発表したばかりで,統合が完了する8月にIPO企業となる見込みという。

 IPStorは,ストレージ資源を集積して仮想化し,IPをベースにSANやNASとして統合管理するソフトウェア。SCSIやファイバーチャネル,iSCSIなど,さまざまなインタフェースに対応する。ベースとなる「IPStor Server」をはじめ,IPStor Serverにアクセスするアプリケーションサーバにロードされるドライバ「IPStor SAN Clients」と「IPStor NAS Clients」,そして管理者向けのGUIコンソール「IPStor Java-based Manager」の4つのコンポーネントで構成される。

 この製品を標準的なLinuxサーバにインストールすると,ドライバをロードしたディスクをストレージとして仮想化,ネットワーク上にあるSANやNASを統合して一元管理できる。既存のあらゆるストレージにIPベースでアクセスし,すべてをIPStorで管理することや,デバイス,RAIDキャビネット,インタフェースを問わずにストレージを仮想化することができる。

 つまり,これまで分散して管理されてきたSANやNASを,IPベースのネットワークに乗せるだけで,1つの大きなストレージエリアとみなすことができるという訳だ。

格安で拡張性も

 同社でCTOを務める小崎将弘氏は,「ストレージを利用したいが,コストが高いため導入をためらっている企業にも最適。秋葉原で売っている,どこのメーカーの製品か分からないようなディスクでも,ストレージとして利用できる」と話す。

 格安のストレージを構築したいユーザーは,Linuxサーバとサードパーティーのディスクを用意し,IPStorを導入すると,格安のストレージを実現できる。ソフトウェアは最少構成で220万円となっており,これにLinuxサーバとディスクの費用を加えるだけだ。

 この格安構成でストレージに踏み出した企業が,よりミッションクリティカルなデータを扱いたいときは,信頼性の高いディスクをストレージに加えればいい。また,ストレージとして割り当てる容量を増やすことも容易という。

「ソフトウェアで設定すると,空いているディスクをストレージ領域に加えられる。仮想的にストレージを設定するため,実際には複数のディスクでも1つのストレージと認識させられる」(小崎氏)

 一方,エンタープライズ向けに,ミラーリングやスナップショット,稼動時の障害対応機能も搭載しており,基本的なストレージサービスを提供することもできるという。帯域幅の割り当てを管理するQoS機能も搭載されている。

 この日の発表に同席した富士通,新日鉄ソリューションズ,アドテックスなど,OEM供給やSIを通じて出荷する。年内に15社のパートナー企業獲得を目指す。

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▼ファルコンストア・ジャパン

[井津元由比古 ,ITmedia]