新ストレージ戦略「FSAM」で10倍のストレージ管理を可能にする日本HP

【国内記事】 2001.06.19

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は6月19日,同社の新しいストレージ戦略「FSAM」(Federated Storage Area Management)と,それを実現するための新製品2種および新サービスを発表した。

 FSAMは,ネットワーク上に存在する物理的に異なるドメインやタイプ,ベンダーのストレージデバイスを1つの論理リソースとして利用可能にする「連合(Federated)ストレージ」環境と,ストレージドメインを越えたリソースやデータの集中管理およびデータやアプリケーションの共有サービスを提供する「ストレージ・エリア・マネージメント」の2つの機能で構成される日本HPの新しいストレージ戦略。

 FSAMに対応したモジュール形式のストレージアプライアンス製品により構成されたストレージファームを,HPの統合システム管理ツールである「OpenView」をベースとしたストレージ・エリア・マネージメントソフトウェアおよびサービスと統合することで,より効率的な管理環境を実現することができるという。

 また,FSAMを利用することで,異機種ストレージ製品を含むストレージ環境を一元的に管理することが可能になるほか,Windows環境からLinux,さらに大規模UNIXまで,プラットフォームに依存しないスケールアップと,例えば東京の本社,大阪,福岡の支社という場所に依存しないスケールアウトという,2方向の拡張性も実現することができるという。

米HPのネットワーク・ストレージ・ソリューション・オーガニゼーション副社長,ノーラ・デンゼル氏

 来日した米HPのネットワーク・ストレージ・ソリューション・オーガニゼーション副社長,ノーラ・デンゼル氏は,「専門の人員を増員することなく,10倍のストレージ環境を管理することを可能にするのがFSAMの最大の目的」と話す。

 このFSAMを実現するための製品として同日発表されたのが,「hp surestoreバーチャルアレイ7400」および「hp surestoreネットワーク・ストレージ・アプライアンス」の2製品だ。

hp surestoreバーチャルアレイ7400

 hp surestoreバーチャルアレイ7400は,物理ディスクに制限されることなく,柔軟な論理ユニットの構築を可能にする同社の「バーチャルアレイ」技術を搭載したディスクアレイの新製品。2Gbpsのファイバーチャネルインタフェースに対応し,ディスク増設用のきょう体「hp surestore disk system 2400」を利用することで,最大105個のディスクドライブを搭載可能。これにより最大容量7.7Tバイトのストレージシステムを実現できるという。

 プラットフォームは,HP-UX,Windows NT/2000,Red Hat Linux,Solarisをサポート。価格は1620万円より。出荷の開始は,8月中旬を予定している。

hp surestoreネットワーク・ストレージ・アプライアンス

 一方のhp surestoreネットワーク・ストレージ・アプライアンスは,ストレージエリアネットワーク(SAN)対応のストレージソリューション製品。単なる製品として提供するだけでなく,ユーザーごとに必要となる「企画・導入・運用・拡張」の一貫したストレージ管理サイクルによるサービスとともに提供される。

 ホストプラットフォームは,Windows NTおよびQLogic 2200F FC-HBAをサポート。年内には,HP-UX,Solaris,Linux,Windows 2000をサポートする予定という。価格は,テープ構成が3200万円より,ディスク構成が3800万円より,テープおよびディスク構成が4700万円より。8月より順次出荷が開催される予定という。

 この2製品の発売にあたり日本HPでは,東京の市ヶ谷オフィス内に「ストレージインテグレーションセンター」を開設し,ユーザーとの動作確認や,他社製サーバ製品との接続検証,パートナーのビジネス機会創出など,さまざまなサービスを提供していく計画も明らかにしている。

 今後,HPでは,つめの大きさのストレージに,人間の一生分の会話を記録することができる媒体である「アトミック・レゾリューション・ストレージ」や,XMLベースでストレージサービスプロバイダーにデータを預け,いつでも,どこからでも,どんな媒体からでも利用可能にする「i-シャドウ」の実現など,次世代のストレージソリューションも模索していくとしている。

「われわれの強みは,ハードだけ,ソフトだけなど,単なる製品提供ベンダーではなく,パートナーとともに製品とサービスを統合したストレージソリューションとして提供できること。しかも,テープ,ディスク,ネットワーク,管理製品,ソリューションなど,必要なすべてを提供することができる」(デンゼル氏)

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▼日本ヒューレット・パッカード

[山下竜大 ,ITmedia]