Oracle Linux Summit 2001基調講演:「Linuxエンタープライズ時代」の幕開けを宣言した日本オラクルの新宅社長
| 【国内記事】 | 2001.06.20 |
日本オラクルは6月20日,同社のLinuxビジネスの取り組みを紹介するイベント「Oracle Linux Summit 2001」を都内ホテルで開催した。同イベントのテーマは,「Speeds E-Business on Linux」。Linux市場は,「e(スモール・イー)-ビジネス」から「E(ラージ・イー)-ビジネス」へ,というコンセプトを明確にし,大規模ビジネスLinuxを迅速に実現するための同社のさまざまな戦略が明らかにされた。
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| 日本オラクルの代表取締役社長,新宅正明氏 |
開会に先立ち壇上に立った日本オラクルの代表取締役社長,新宅正明氏は,「(エンタープライズ)ユーザーは,ビジネスLinuxソリューションを待っている。ただしこの分野は,われわれだけで実現できるものではない。ビジネスLinuxの迅速な実現と提供に向け,ここに集まったパートナーの皆さんだけでなく,すべてのパートナーにぜひとも協力してほしい」と訴えた。
同社は,1999年3月に主力データベース製品として初のLinux版となる「Oracle 8 Workgroup Server for Linux」を発表して以来,Linuxを有力なプラットフォームの1つとして位置付け,ビジネスを展開してきた。その後,2000年6月には,世界でも例のないオラクルの100%子会社となる「ミラクル・リナックス」を設立し,日本国内におけるLinuxビジネスを強化している。
しかし同社のLinuxビジネスのスタートは,決して順調とはいえなかった。実のところ,IBM(インフォミックス)やサイベースなどのデータベースベンダーの中で,Linuxビジネスに対し最も懐疑的だったのがオラクルだった。ただし,「やる!」と決めたら,マネージメントから技術面に至るすべてに対して考えられないスピードで動くのが同社の特徴の1つ。
日本国内でも2000年8月に,「エンタープライズLinux戦略」を発表して以降,東芝,NEC,コンパック,ターボリナックスなど,さまざまなベンダーと次々に提携し,Linuxビジネスを拡大してきた。さらに7月には,富士通と提携し,Oracle9iデータベースとOracle9i Application Serverを搭載したサーバ製品の発表を予定するほか,9月にはNTTコムウェアとLinuxビジネスで提携する予定であることも明らかにした。
こうした活動により,現在,Linux上で稼働するデータベース市場の85.4%のシェアを獲得したという。これは第2位のIBMの14.6%を大きく上まわる数字となっている(ミック経済研究所調べ)。
今後は,インターネットのエッジソリューションを提供するだけでなく,日本国内でも秋にリリースが予定される「Oracle9i」データベースを中核に,先日発表された「Oracle9i Application Server」と併せ,ビジネスLinuxソリューションを本格的に推進していく予定という。
「今後は,単なる製品提供だけでなく,それらを組み合わせて稼働するアプリケーションやサービス,さまざまなソリューションとしてパートナーとともに提供していく。われわれの新しい製品であるOracle9iがビジネスLinux市場の起爆剤となるだろう」(新宅氏)
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| ミラクル・リナックスの代表取締役社長,茂木正之氏 |
基調講演の後半には,Oracleデータベース対応のLinuxサーバOSを開発・販売するミラクル・リナックスの代表取締役社長,茂木正之氏が登場し,ビジネスLinuxの実現に向けスタートした同社戦略の第2フェーズを明らかにしている。内容は先月開催された「LinuxWorld」で発表されたものと同じだが,「E-ビジネスのバックエンドを支えるデータベースをLinuxで実現したいというニーズに応えていきたい」ことを強調した。
「事業としてのコアコンピタンスを実現するオラクルと,Oracleデータベースに最適化されたLinxサーバOSの製品開発をてがけるわれわれがさらに強力に手を組み,360度のソリューションを提供する両輪型ビジネスモデルを確立したい」(茂木氏)
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[山下竜大 ,ITmedia]


