欧州連合,ヨーロッパのIT企業に日本市場への入口を開くイベントを今年も開催

【国内記事】 2001.07.03

 欧州連合(EU)は7月3日,欧州企業の日本市場への進出を促すことを目的としたイベント「EU Gateway to Japan情報通信技術使節団展示・商談会」を都内のホテルで開催した。会場には,ドイツやオランダ,アイルランドを中心に,フィンランド,フランスなど20社前後のIT関連企業がブースを設け,来場者に自社の事業内容などの説明を行った。同イベントは,1994年に1次キャンペーンが始まり,1997年から2次キャンペーンとして展開されている。

都内のホテルで行われた「EU Gateway to Japan」のイベント会場

 ブースを回って目を引いた企業の1つに,オランダのコンサル・リスクマネジメント・インターナショナルがある。同社は,1986年に創立され,オランダのデルフト市に本部を,米国やドイツなどに支社を持つ。企業のセキュリティに関するリスクを最小化し,コスト削減と業務効率の向上,セキュリティポリシーを高めることを中心としたソリューションを展開している。

 同社のエット・ペータース副社長は,イベントモニタリングおよびオーディットを行う同社製品「Consul/eAudit」について,次のように話す。

「eAuditは,NTやUNIX,OS/390などのOSや,ファイアウォール,SAPやオラクルデータベースなどのアプリケーション,ルータを含めた複数のプラットフォームでイベントモニタリングを行う。これらのアプリケーションに,イベントが発生した場合,すべてのログを監視するデータベースが,だれが,何を,どこで,いつ,データの閲覧や更新などを行ったかについて情報を一元的に管理する。そして,社内規定をベースにしたイベント報告を行うことで,企業のセキュリティを確保する」(エット氏)

コンサルのエット氏。「初めは,日本は安全なのでセキュリティ管理は必要ないと思っていた」と冗談を交じりに話した

 ドイツのピーエム・コンピューター・サービシーズ(PMCS)は,PCのライフサイクルを管理し,PC管理コストを制御するソリューションを展開する。

 同社によれば,PCコスト全体の中で大きな影響力を持つのは,ネットワークコンピューターの購入コストではなく,ITスタッフの人件費や,ときどきの市場情勢で決まるPCの管理コストだという。それを踏まえて同社が展開する製品が「C.U.T」だ。

PMCSのボルファー氏

 同社でプロジェクトマネジャーを務めるインゴ・ボルファー氏は,「C.U.Tは,ネットワーク上のPCへのソフトウェアインストールを自動的に行ったり,エラー管理,障害発生時のリカバリーなどを1カ所で集中管理できる製品」と話す。同社は,日本のIT環境でソリューション展開を行った経験から,日本市場に焦点をあてたという。日本ではあまり例のないサービスであるため,期待できるとの専門家の意見も紹介している。

 さらに,同じくドイツのウティマコ・セイフウェアは,顧客企業の電子資産としての情報データの安全性を確保するサービスを行っている。同社の顧客には,複雑なセキュリティが要求される,政府系機関や金融機関,製造業などドイツ国内外の大企業が多いとする。一例として,ダイムラークライスラーやAMD,フランス銀行,ドイツ軍隊などを挙げた。ドイツの株取引市場である「Neuer Markt」に上場している。

ウティマコ・セーフウェアのジャン・ボスベルド氏

 同社のジャン・ボスベルドプロフェッショナルマネジャーは,「われわれは,ネットワークアクセスに対してさまざまなレベルのセキュリティが掛けることができる。また,指紋認証によるアクセスを実現する「SafeGuard Biometrics」にも注目して欲しい」と話した。

 このほか,ベルギーからは半導体装置向けアプリケーションを提供するキュースター・テスト,「Webサイト製作は,複雑なものでもワープロ感覚でできるようにならなくてはならない」とするデンマークのアテンシア,モーバイルインターネット向けに3次元ナビゲーションを実現するフィンランドのアルクスソフトウェア,音楽ソフトウェアを開発するアルチュリア,Java,XMLおよびHTMLベースの製品で診療所用包括的管理ソフトウェア「H2H-CLINIC」を提供するアイルランドのH2Hケアーなどが出展していた。

関連リンク

▼EU GATEWAY TO JAPAN ホームページ

▼コンサルリスクマネジメント

▼ピーエム・コンピューター・サービシーズ

▼ウティマコ・セイフウェア

[怒賀新也 ,ITmedia]