コンパック,世界初の1GHz超64ビットサーバ「Alpha Server GSシリーズ」を発表

【国内記事】 2001.07.10

 コンパックコンピュータは7月10日,都内のホテルで記者会見を開き,EV68プロセッサ1001MHzを搭載した世界で初めてのギガヘルツ64ビットサーバとなる「AlphaServer GSシリーズ」を発表した。また,UNIX OSであるTru64 UNIXとTruCluster Serverのそれぞれ新バージョンとなる「V5.1A」も同時に発表されている。さらに,AlphaサーバをインテルベースのItaniumに移行させるという6月25日の発表について,改めて説明した。

 発表の全体的な概要を話した同社のドナルド・ジェンキンス副社長は,「コンパックのTru64 UNIXサーバ分野の売り上げは,2000年度は前年比36%の成長を見せ,2001年の第一四半期を前年同期と比べても21%の成長を記録している」とし,同社のUNIXサーバ分野の好調ぶりをアピールしている。

 また,同社のエンタープライズビジネス統括本部Alpha製品本部長の市原隆保氏は「AlphaサーバGSシリーズは,CPUに1001NHzのEV68を搭載,キャッシュは8Mバイトとこれまでの2倍の容量にした。システムクロックの高速化やI/O速度の向上などシステム全体での高速化を実現している」と話す。

Alpha製品本部長の市原隆保氏

 AlphaサーバGSシリーズの推奨OSは,True64 UNIX V5.1A,OPENVMS V.3となっている。推奨OSを利用することで,NUMA最適化やI/O性能向上を図れるという。さらに,1つのパーティション内で異なるスピードのCPUを混在させた構成も可能になるため,導入企業は既存の資産を捨てずに済む。ただし,Tru64 UNIX V5.1やOpenVMS V7.2-1H1などの現段階のOSでも稼動できるとしている。

 Alphaサーバに対応するソフトウェアに関しては,現状でTru64 UNIX V5.1で稼動する主要なアプリケーションとして,OracleやSAP R/3,CRM系の分析ツールであるSAS,ジョブ管理ツールのJP1,そのほかStarCD,MARC,NASTRANなどが紹介されている。

 また,新たに発表されたEV68/1GHz(メモリは8Mバイト)とTru64 UNIX V5.1Aの組み合わせと,旧モデルであるEV/731MHz(メモリは4Mバイト)とTru64 UNIX V5.1の組み合わせで,ベンチマークの比較も行われている。結果は,6項目中最大で70.3%,最小でも40.4%の性能向上が実現されており,「CPUの高性能化とメモリ増加に対して,リニア以上の性能向上が実現している」として同社は強調している。

 さらに,TPC-Cが行ったOracle 9iを導入したシステムのベンチマークテストの結果も紹介されている。コンパックはAlphaServer GS320 1GHzとTru64 UNIX V5.1A,Oracle 9iの組み合わせで構成され,同等の環境でIBMのp680モデルや,HPのsuperdome,サンのE10000を使ったシステムと比較が行われ,コンパックのシステムが1位に輝いている。1秒当たりのトランザクション数は,23万533tmpCとなっており,単一システムとしては世界最高の記録という。

Tru64 UNIX/TruCluster Server V5.1A

 この日,同時に発表されたのが,Compaq Tru64 UNIXおよびTruCluster Serverのそれぞれ「V5.1A」だ。Tru64 UNIX V5.1Aは,システムを停止させることなくCPUの交換や追加を行うことができるOLAR(Online Additional and Replacement)機能をサポートする。

 また,TruCluster Server V5.1Aを利用することで,サーバ同士のインターコネクトにイーサネットを利用できるため,ローコストなクラスタリングが可能になるという。なお,TruCluster Server V5.1Aのクラスター技術は,オラクルの次世代クラスターデータベース技術である「Oracle 9i RAC(Real Application Clusters)」のベースに採用されているという。

 さらに,エンタープライズ向けのOS OpenVMSにも最新バージョンの「OpenVMS V7.3」もリリースされる。OLAR機能をはじめ,Compaq Secure Web ServerやJava2 SDK,Compaq Fast VM,XMLなどにも対応,e-ビジネスのインフラとしてインターネットへのサポートが強調された。また,kerberos V5が利用可能になり,セキュリティも強化されているという。

 新製品の主なスペックと価格は次の通り。AlphaServer GS80は,EV68プロセッサ1GHz×1(最大8),8Mバイトキャッシュ,1Gバイトメモリ(最大64Gバイト),9.1Gバイト HDD,Compaq Tru64 UNIX V5.1A無制限ユーザライセンスまたはOpenVMS V7.3で,価格は1735万5000円で,8月中旬の出荷を予定している。

 AlphaServer GS160は,EV68プロセッサ1GHz×1(最大16),8Mバイトキャッシュ,1Gバイトメモリ(最大128Gバイト),9.1Gバイト HDD,Compaq Tru64 UNIX V5.1A無制限ユーザライセンスまたはOpenVMS V7.3で,価格は4985万5000円で,8月中旬の出荷を予定している。

 AlphaServer GS320は,EV68プロセッサ1GHz×1(最大32),8Mバイトキャッシュ,1Gバイトメモリ(最大256Gバイト),9.1Gバイト HDD,Compaq Tru64 UNIX V5.1A無制限ユーザライセンスまたはOpenVMS V7.3で,価格は1億1185万5000円となっており,8月中旬の出荷を予定している。

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[怒賀新也 ,ITmedia]