caworld 2001 Keynote:米国で絶大な人気を誇るジャーナリスト,クロンカイト氏が「caworld 2001」に登場
| 【海外記事】 | 2001.07.09 |
コンピュータ・アソシエイツ・インターナショナル(CA)がフロリダ州オーランドで開催している「caworld 2001」2日目の7月9日,基調講演にCBSニュースの特別特派員であるウォルター・クロンカイト氏が登場。その功績から,ジャーナリストだけでなく米国国民のすべてから称賛される同氏だけに,登場するだけでスタンディングオベーションの歓迎を受けた。
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| 和やかな雰囲気で対談するCAのチャールズ・B・ウォン会長(写真左)とウォルター・クロンカイト氏 |
クロンカイト氏は,60年以上に渡りさまざまなニュースイベントを報道してきた米国で最も知名度の高いジャーナリスト。1916年11月4日,ミズーリ州セントジョセフに生まれた同氏は,ヒューストンポストの学生特派員に選ばれたことをきっかけに,この道に入ったという。
同氏は,政治の世界にも広い人脈を持ち,ニクソン大統領とキッシンジャー国務長官時代の笑い話,レーガン大統領の裏話などを懐かしそうに話してくれた。どんな状況でも常に冷静に判断し,的確な報道ができることから「Old Iron Pants」というニックネームで呼ばれる同氏だが,唯一自分を失いそうになったのが,ケネディ大統領の暗殺のときという。
「あの時だけは,私は自分を失いかけた……。私も,ジャーナリストである前に,1人の人間だと思った瞬間だ」(クロンカイト氏)
また,UP通信時代には,第二次世界大戦の報道に携わったほか,ベトナム戦争や湾岸戦争などの戦地にも自分の足で出向き,真実を追いかけ続けたという。
「ベトナム戦争の時には,“クロンカイトの報道しだいで戦争の勝敗が決まる”といううわさで大統領から呼び出されたよ(笑)」(クロンカイト氏)
ユーモアのセンスもなかなかだ。
終始,和やかに進む対談は,60年間ジャーナリズムを貫き通したクロンカイト氏と,25年間IT業界を突っ走ってきたウォン氏の間に,何か通じるものがあったからかもしれない(ただし,さすがのウォン氏もクロンカイト氏からすれば子ども扱いだが……)。
そういえば昨日の基調講演で,ウォン氏は,「明確なビジョンがあり,それを実現していく。この繰り返しを維持する持続性があり,イノベーションを忘れなかったからこそいまのCAがある」と話していた。
日本人で,ケネディ暗殺後に生まれた自分としては,クロンカイト氏の偉大さがピンとこないところもあるが,1つのことを極めた人の話にはやはり説得力がある。
同じジャーナリストの端くれとして(彼の前では,「端くれ」ということさえおこがましい気もするが……),講演が終わると自然にスタンディングオベーションに加わっていた。
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[山下竜大 ,ITmedia]

