MacWIRE「一度に1人ずつの革命」コラムに対するご説明

【国内記事】 2001.07.10

 ZDNet/MacWIREの記事が波紋を広げています。7月9日付けで弊社MacWIREに掲載されました「さらにApple報道における翻訳の問題は続く」という記事ですが,著者である大谷和利氏(Macエバンジェリスト)は,ZDNet/USAに掲載された原文を確認せずに,ZDNetエンタープライズがバイアスをかけ,翻訳を捻じ曲げたかのような指摘をしています。

 しかしながら,この2つの記事は,原文が異なっているのです。ZDNetエンタープライズでは,eWEEK,Sm@rtPartner,InteractiveWeek,そしてSmart Businessの4誌の記事を厳選して翻訳しております。今回,大谷氏から指摘のあった記事「ジョブズ氏とMac OS Xに容赦ない批判を浴びせるMacのクリエーターたち」のソースは,MacCentralのデビッド・リード記者が米国eWEEKに寄稿したものです。確かに記者は同じかもしれませんが,記事のニュアンスを変えて執筆されています。

 つまり,大谷氏がタイトルに使われているような「翻訳の問題」ではありません。

 ご指摘のあったわれわれの記事タイトルに関しても,米国eWEEKにおいては,「Mac creators tackle Jobs, Mac OS X」,つまり「talk about」でなく「tackle」となっています。「ジョブズ氏とMac OS Xに容赦ない批判を浴びせるMacのクリエーターたち」――許容の範囲内と考えております。

 次に見出し批判についてもコメントしましょう。eWEEK側の小見出しも,MacCentralと同様に「Mac OS X」「Steve Jobs」となっています。日本サイドでは大谷氏のご指摘のとおり,小見出しに関しては「セクションの内容を分かりやすく紹介する」ことに努めております。この点に関しては大谷氏も同意してくれていると理解しております。

 ただ,大谷氏は,「例えば,ZDNetエンタープライズ側の訳でも,Andy Hertzfeldは“Windowsより明らかに優れている”と言っているのだから」(大谷氏コラム原文のまま),見出しを中立的に書くべきだと主張しています。しかしながら,ZDNetエンタープライズの記事を読むと,一方でアンディー・ハーツフェルド氏が「まだ成熟していない製品である」と考えていることもお分かりいただけるでしょう。

「Windowsに勝つ」もしくは「負ける」という問題ではありません。Mac OS Xの現状に対して,同氏は不満を持っているのです。大谷氏も,「Windowsに勝っているから満足 = Windowsは十分に優れている」と考えておられるわけではないと思います。もし,そうであれば,マイクロソフトにとってはいいニュースになりますが……。

 原文の後半の話までは,敢えて踏み込みません。そもそも米国サイドのZDNet eWEEKでは,大谷氏の指摘する部分が初めから削られております。

 敢えて苦言を呈すれば,大谷氏が確認を怠ったということになります。的外れな批判,例えば「偏向したタイトルや見出しが付けられ,内容的にも中途半端に紹介され」とか,「原文を書いた記者たちにも失礼だと思う」(大谷氏コラム原文のまま)は,単なる誹謗中傷でしかありません。最低限のルールを守り,きちんと取材されることを願います。これは常にわれわれへの自戒でもあります,ジャーナリストであれば……(失礼)。

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▼米国eWEEK原文

▼MacCentral原文

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