日本オラクル,次世代プラットフォームのOracle9iを10月出荷へ

【国内記事】 2001.07.11

 日本オラクルは7月11日,「Oracle9i」を10月1日から出荷することを明らかにした。Oracle9iは,e-ビジネスのための次世代プラットフォーム。これまで50以上に分かれていた同社の製品を「Oracle9i Database」と「Oracle9i Application Server」という2つの製品に統合している。昨年10月のOracle OpenWorld(OOW)2000 San Franciscoに続き,国内でも12月のOOW 2000 Tokyoで発表されていた。

 新宅正明社長は,都内のホテルで行われた記者発表会で「市場は企業間のビジネス統合を実現できるプラットフォームを求めているし,ブロードバンドの普及によってコンテントやアプリも変わる。また,e-政府構想はアプリのサービス化を加速させるだろう。Oracle9iは,こうした真のe-ビジネスに対応するものだ」と話した。

 Oracle9i Database(DB)には,1991年のVAX Cluster版以来10年にわたる開発から生まれた同社のクラスタ技術の粋が盛り込まれた。「Oracle9i Real Application Clusters(RAC)」と呼ばれるクラスタ技術は,Cache Fusionアーキテクチャをベースとしており,ノードの追加によるリニアな性能向上とメインフレームクラスの高い可用性を両立できるという。

 さらに可用性を高めるため,Oracle9i DBには,計画外のダウンや計画されたダウンを極力最小化するための管理ツールも統合されている。例えば,Data Guardはリアルタイムですべてのトランザクションをバックアップしてくれるもので,障害時に発生していたデータロスがなくなる。また,フラッシュバッククエリ機能は,過去のデータを検索して復活させることができるもので,人的なエラーに対応できるという。

 Oracle8i時代から米国では提供されていたOracle Internet File System(iFS)が,国内でもようやくOracle9i DBに統合されて登場する。マルチメディアデータをOracle9i DBに格納・検索できるほか,HTTPやFTP,Java,あるいはSMB,WebDAVといった各種プロトコルをサポートする。このため,Windowsエクスプローラーからドラッグ&ドロップでOracle9i DBにデータを格納できたりする。

Oracle9i ASはJ2EE認定に

 もう1つのOracle9iであるOracle9i Application Server(AS)は,最新のJ2EE認定を受けており,そのパフォーマンスも競合製品を圧倒するという。製品本部長の保科実氏は,「これまでJava開発者は,他社のアプリケーションサーバとOracleデータベースを組み合わせることが多かったが,これでワンストップソリューションを提供できる」と話す。

 Oracle9i DBとOracle9i ASを組み合わせることで,「Web Cache」と呼ばれる高速なコンテント配信機能も利用できる。静的なWebページだけでなく,データベース検索のような動的なWebページも効果的にキャッシュできるという。昨年12月のOOW 2000 Tokyoでは,タワーレコードが採用することを明らかにしていた。

 このほか,Oracle9i ASでは,SOAPをサポートしWebサービスへの対応を図っているほか,パーソナライズされた企業ポータルを提供する機能も持つ。

 日本オラクルでは,10月1日の32ビットSolaris版を皮切りにOracle9i DBを順次出荷していくほか,Oracle9i ASはすべてのプラットフォームを10月1日に同時出荷するとしている。インテルLinuxに対応したOracle9i DBも,Red Hat,TurboLinux,OpenLinux,Miracle Linuxの各バージョンが早ければ10月中にも登場するという。

 価格は1指名ユーザー当たりOracle9i DBが3万2000円から,Oracle9i ASは7000円からとなっている。

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[浅井英二 ,ITmedia]